過去に現れた彗星のうち、特に私たちの印象に残っているもや話題性に富んだ大彗星をピックアップして紹介します。今後、このページに加えられるような大彗星が現れてくれることを期待したいものです。
ハレー彗星はエドモンド・ハレーが76年の周期で地球に近づくのを発見したことで有名です。ハレー彗星は、彗星の代名詞のように使われるほど名高いのですが、前々回接近の1910年には尾の長さが180度に達したといわれるほどの大彗星となりました。(つるぷらが描く珍しい天文現象の中にあるハレー彗星の長大な尾、および右のスケッチを参照)
日本人のアマチュア天体観測家の池谷(いけや)さんと、関(せき)さんによって1965年に発見された彗星です。夜明け前の東天で長大な尾をたなびかせる姿が肉眼でもはっきりと捉えることができ、多くの人を熱狂させました。今とは空の事情が異なり、淡い尾の部分まで肉眼でも見ることができたという面もあるのでしょうが、天文史に残る大彗星のひとつです。
ベネット彗星は20世紀で最も明るくなった彗星のひとつです。1970年の春頃、その明るさはマイナス3等級に達し、夜明け前の東天で20度ほどの曲がった尾が観測できました。頭部が非常に明るくて、まわりの他の星は見えなくてもベネット彗星だけは見えていたそうです。
1976年の春頃に夜明け前の東天でマイナス2等級の明るさで輝いたのがウェスト彗星です。ウェスト彗星は核が分裂したため大量のダストが放出され、美しく開いた尾が長さ30度にまで発達し、20世紀で最も美しい彗星だったといわれています。
前回接近した1986年は、「ハレー彗星接近」と大いに騒がれて期待も高まりました。しかし条件があまり良くならず、3〜4等級ほどの明るさにしかなりませんでした。ですから私たちの期待とは裏腹に、逆にガッカリさせられた彗星でもありました。いちおう、つるちゃんも観測することができました。また、日本を含む各国から探査機がハレー彗星へ向けて打ち上げられ、初めて彗星の詳細な様子が捉えられました。
日本の故百武さんが発見した彗星で、1996年の春に地球へ接近して明るくなりました。空が明るめの都会の夜空でも大きな頭部がドーンと見えて驚かされました。また、尾の長さは100度にも達し、当初の予想をはるかに上回る大彗星となって私たちを楽しませてくれました。
地球接近の2年以上も前に発見され、明るくなる彗星と前評判が高かった珍しい彗星です。彗星の大きさが大きかったため、地球から距離が離れていたにもかかわらずマイナス1等級まで明るくなり、長期間にわたって良い条件で観測することができました。
マックノート彗星(C/2006 P1)は、2007年1月13日に近日点通過をしました。このときマックノート彗星の明るさは金星よりも明るくなり、池谷・関彗星以来、なんと40年ぶりというほどでした。日没後の超低空に見ることができたのはもちろんですが、白昼でも観測や撮影することができました。