食分が大きな深い皆既月食というと、月が地球本影の中心付近を通ることは容易に想像できます。このような月食は、傾いた月の軌道が地球の公転軌道面を横切るタイミングで月食になった場合に起こります。1暦年の間に4回部分日食(月食でない)が起こる年がありますが、その年に起こる月食のうちのひとつが深い月食となる可能性があります。
食分が大きくなる要素は、
といったことが挙げられます。
最近日本で見られた月食で食分が大きかったのは、2000年7月16日に起こったもので、食分は1.7684(NASA、以後同様)という非常に深い皆既月食でした。この時は地球から遠い位置で月食となったために月の動きが遅くなり、皆既継続時間が1時間47分にもおよびました。これは日本では141年ぶりという長いものでした。
今後同じような食分となって東京で見られるものとしては、2047年7月7日に1.7513というのがあります。また同様に、2000年の食分を超えるのは、2094年6月28日に起こる月食で、この時の食分は1.8234です。
2000年7月16日に起こった深い月食の例 |
次に2000年から過去にさかのぼってみると、1953年7月26日に食分1.8628という月食がありました。これは相当に大きな食分だったようで、今後東京で見られてこれをしのぐものは、西暦3000年までの間には起こらないようです。1953年の食分に近いものとしては2340年4月13日の1.8576がありますが、僅差で1953年におよびません。また、日本で見られないものとしては、2756年6月5日に1.8821というメガ級の皆既月食が起こります。調べてみると、これは紀元前1999年から西暦3000年までの5千年間で最大の食分となる、最も深い皆既月食のようです。