月食は日食よりも少ない?

多く見られる月食

 月食は日食と比べて多く見られるように思いませんか? 月食は平均すると年に1度くらい見られますし、2010年のように年に3度も見られることだってあります。皆既月食も数年に一度は起こって、年に2度見られる年だってあります。それと比べて日食は数年に一度しか見ることができません。さらに皆既日食となると、場所を固定とると300年から400年に一度しか見ることができないとも言われています。

 日食は月の影という狭いエリアに入らないと見られないのに対し、月食は月が昇ってさえいればどこからでも見ることができます。その違いが月食は日食よりも多く見られるという事実につながっているのです。

月食は少ない?

 日食よりも月食の方が多く見られるのは事実ですが、しかしこれは、観測地点を1箇所に固定した場合の話です。地球全体で起こる回数を比較すると、日食よりも月食の方が起こる頻度が少ないのです。

 例えば20世紀に起こった回数をカウントすると、日食が228回であるのに対して月食は146回(本影食のみ、以下同様)でした。また、21世紀に起こる回数では、日食が224回なのに対し、月食は142回しか起こりません。さらに西暦3000年までの5千年間で比較すると、日食が11898回、月食は7686回で、やはり月食の方が3割以上も少なくなっています。

 下の図をご覧ください。日食が起こる時は月が地球と太陽の間に入り、月食が起こる時は地球が月と太陽の間に入ります。ですから、日食が起こる可能性のあるエリアの直径と、月食が起こる可能性があるエリアの直径を比べると、日食の方が大きくなることがわかります。当然日食が起こる可能性の方が、月食が起こる可能性よりも高くなることがおわかりいただけるでしょう。
 

月食が少ない理由