観測する場所によって月食の見え方がどう違うか。実は月が欠ける割合など、食の進行状況は日本全国どこで見ても同じです。それでは何が違うのかというと、一番違っているのは月が見える位置です。これは観測場所によって経度と緯度が違うことによります。
経度による違い
下の図をご覧ください。食の開始、食の最大、食の終了の際、月が見える位置と地球の影の位置をプロットしています。観測場所として札幌、東京、大阪、福岡を選びました。図では描画する中心を南方向にだいたいそろえていますが、少しずつズレていますので注意してください。
一般的に東に位置する観測地点ほど、月の出や南中、月の入りの時刻が早まります。ですから図では、東の観測地点の方が西の観測地点よりも全体的に右寄り(西寄り)に見えます。しかし、それほど大きく違うものではありません。注意していただきたいのは月だけでなく、背景の星座も含めて全体が西寄りに見えることです。札幌では月の位置がおうし座に見えるのに、福岡では隣のふたご座に見えるといったことはありません。(※)
※厳密には星座に対して月の位置が少しだけズレますが、ほとんど問題にならない程度ですので、ここでは取り扱いません。
札幌の場合
東京の場合
大阪の場合
福岡の場合
緯度による違い
観測地点の緯度によっても月の位置が違ってきます。上の図をご覧いただくとわかりますが、緯度が高い(北に位置する)地点ほど月の高度が低くなっています。逆に緯度が低い(南に位置する)地点ほど月の高度が高くなっています。今回の月食では南中する頃に食の最大となりますから、緯度の違いが月の高度へ如実に反映されています。