東日本、北日本で月出帯食の部分月食 2014年4月15日

 2014年4月15日は1年ぶりに部分月食が見られます。この月食は皆既月食なのですが、残念ながら日本では月食が終了する間際の部分月食を、一部の地域からだけしか見ることができません。

東京から見た2014年4月15日の部分月食

月食が見られるエリア

 下の図はNASAが提供する2014年4月15日の月食が見られるエリアを示した図です。日本にはU4のラインがかかっています。このラインよりも右側では月食の終了部分だけを見ることができますが、左側では月が昇る前に月食が終わってしまいます。つまり、近畿地方よりも東に位置する東日本や北日本では月が欠けたまま昇る月出帯食となります。しかし、月の出が遅くなる西日本では地平線下での出来事となってしまい、月食を全く見ることができません。

月食が見られるエリア

提供:NASA

地球の影を通る月の経路

 下の図は地球の影を通過していく月の経路を示したものです。月は地球の影に対して右から左へ移動していきます。
 
 赤い円は地球の本影で、この円の中に月が入ると月食が見られます。また黄色い円は地球の半影で、太陽の光が一部届いています。この円の中に入っても、肉眼では半影月食であると気づかないでしょう。
 
 月は地球の本影を示す赤い円の中へ完全に入り込み、皆既月食となることがわかります。しかし日本では、月が地平線に昇っていない時間帯ですから、皆既月食を見ることはできません。
 
 図の左側にある濃い黄色の小さな円は、東京で月の出時刻における月の位置を示したものです。赤い円に月の一部がかかっていることから、東京では部分月食の状態で月が昇ってくることがわかります。その後は月が左の方へ移動していきますから、欠け方がどんどん小さくなり、わずか18分で月食が終了してしまいます。

地球の影に対する月の移動経路

各地の見え方

 月食の場合は日食とは異なり、月が欠ける割合(食分といいます)は地域によらず、どこから見ても全く同じです。ですから、日本全国で同じように月食が進行していきます。しかし地域によって月の出の時刻が変わりますから、実際に見ることができる部分月食のようすが違ってきます。
 
 下の図は、札幌、仙台、東京、金沢、大阪、広島、福岡、那覇における月の出時刻の月食のようすを描いたものです。月の出時刻における月の欠け方の違いをご覧ください。月の出が早い東京では、月の3割弱ほどが欠けた状態で月の出を迎えます。しかし月の出が遅くなる大阪では、食分がほとんどなく、ギリギリ見られるかどうかといったところです。さらに西に位置して月の出が遅い福岡では、本影食が終わっており、肉眼では観測が困難な半影食の状態で月の出を迎えます。

月の出時刻における月の欠け方の違い

東京での月食の進み方

 それでは月食の進行を見てみましょう。下の図は東京での進行を3分間隔で示したものです。月の出は18時15分で、東京ではここから月食がスタートします。この時点での食分は0.28で、3割弱が欠けた状態です。時間の経過とともに高度が上がってきますが、それとともに欠け方が小さくなっていきます。そして18時33分に本影から抜けて、日本全国で月食が終了します。
 
 その後も半影月食が続いていることから、しばらくの間は月の右上が少し暗くなっているのがわかるでしょう。しかしそれも次第になくなって普通の満月となり、19時39分に半影月食も終了します。

[月食のデータ]

半影食の始まり  13時52.0分
部分食の始まり  14時58.0分
皆既食の始まり  16時06.4分
食の最大  16時45.7分
皆既食の終わり  17時25.0分
部分食の終わり  18時33.4分
半影食の終わり  19時39.2分
最大食分  1.295

東京で見た月食の進み方(3分間隔)

※このページの画像は「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」にある「つるちゃんの日食ソフト プラグイン機能」を使用し、2014年3月1日にΔT=67秒で再計算しています。正確な予報に対して数秒の誤差を含みます。