4分の1欠ける月食 2017年8月8日

 2017年8月8日の深夜から夜明け前にかけて、部分月食が見られます。欠ける割合を示す食分は0.25で、月の直径のちょうど4分の1が欠けるという、ちょっとひかえめな月食です。これは日本全国どこから見ても同じです。場所によって最大食分に違いはありませんし、月食が進行する割合も同じです。

概要

 2017年8月8日の部分月食は、全国で開始から終了まで見ることができます。
 
 地球の本影が月にかかり始めるのは8日8日に日付が変わった深夜、2時22分です。2並びで覚えやすいですね。そして1時間ほど経った3時20分に最大食を迎えます。さらに1時間ほど経った4時18分に元の姿に戻ります。
 
 今回の月食では、全体的に月の高度が低くなっています。東京では開始の頃は26度ありますが、最大食の頃は17度、終了の頃は7度といった具合に、どんどん高度が下がっていきます。

東京で最大食の頃

見ることができる範囲

 下の図はNASAが提供する月食図です。これを見ると、日本はU4の線よりも西側(左側)に位置しており、月食の全経過を見ることができます。P4よりも西側では、半影月食も全て見ることができます。

東京で最大食の頃

提供:NASA

時間

 今回見られる月食の時間を表にまとめました。
 部分食が見られるのは、2時22.3分から4時18.8分の1時間56.5分です。最大食は3時20.5分です。深夜から早朝にかけて起こりますので、ちょっと見づらいかもしれません。でも子供さんは夏休み中ですから、大丈夫かもしれませんね。

半影食の始まり  8月8日  0時48.1分
部分食の始まり        2時22.3分
食の最大        3時20.5分
部分食の終わり        4時18.8分
半影食の終わり        5時52.9分
最大食分  0.252

月の欠け方

 月食は日食と違い、時刻が同じであれば月が欠ける割合は、日本全国どこから見ても同じです。観測する場所によって欠ける方向が多少異なりますが、国内であればそれほど大きな違いはありません。
 
 下の図は、月がどのように欠けていくかを、17分間隔で示したものです。最初は月の左側から欠け始めます。時間の経過とともに欠け方が大きくなります。直径の4分の1が欠けると最大食です。この頃は月の左下が欠けた格好です。その後は欠けた方向が下向きになりながら、元の状態に復帰していきます。

欠け方の変化

最大食

 最大食は日本全国、3時20.5分です。欠ける割合を表す食分も、全国同じで0.25です。それでは観測地によって何が違うのでしょうか。
 
 まず、見える位置が違います。下の画像に書かれた高度の数値をご覧ください。東または北の地域ほど高度が低く、西または南の地域ほど高度が高いことがわかります。
 
 次に、月が欠ける方向が違います。札幌と那覇を比べましょう。札幌の方が少しだけ下方向が欠けることがわかります。しかし、大きく違っているわけではありません。

日本各地、最大食の頃のようす

月食が見られる位置

 開始、最大食、終了の際に、東京で見える位置を図示しました。ひとことで言うと、南西の空の低い位置で見られることがわかります。

東京で月が見える位置

地球の影を通る月の経路

 下の図は、月が地球の影を通る経路を示したものです。月は影に対して西から東(図では右から左)へ動き、本影(赤い丸のエリア)の北側を通過します。本影の中に月全体が入り込むことはありませんから、皆既月食にはなりません。最大食の頃でも月の一部が本影にかかる程度で、浅い部分月食であることがわかります。

地球の影を通る月の経路

どんな場所で見る?

 月食は南西方向の低い位置で見られます。したがって当日は、南西方向が開けた場所からご覧になってください。ビルの屋上や小高い丘の上などがよいでしょう。なお、深夜に起こる天文現象ですから、ご自身の安全にも十分配慮して観測場所を選ぶようにしてください。それから深夜に大きな声で話をすると近所迷惑になりますから注意しましょうね。

楽しみ方

 次のような点に注意して月食を楽しみましょう。

欠け方を観察

 月食といえば、やはり欠け方を観察するのが一番。時間の経過とともに次第に欠け方が大きくなり、最大食を過ぎると、元の姿に戻っていきます。欠ける方向も変化しますので、注意して観察しましょう。

ぼやけた欠け際

 日食とは違って、欠けぎわを肉眼で見てもぼやけてはっきりしません。これは地球の大気によって太陽光が分散し、地球の影の境界がはっきりしないためです。欠け際を見ていると、大気を持った地球の影が月に映し出されていることを実感できるのではないでしょうか。

クレーターは見える?

 双眼鏡や天体望遠鏡を使って月の欠け際を見ると、普段ならクレーターが見えます。しかし、月食中の月の欠け際をいくら観察しても、クレーターを見ることはできません。これは、正面から太陽光が当たっているために影ができず、立体感がなくなるからです。なにしろ満月なわけですから、当然といえば当然のことかもしれません。

※シミュレーションはつるちゃんのプラネタリウム シェア版に含まれる「つるちゃんの日食ソフト」プラグイン機能を使用しています。ΔT=68.4秒を入力して計算し、計算結果は時刻で数秒の誤差を含みます。