明け方に西日本で小さな部分月食 2019年7月17日

 2019年7月17日の夜明け前、西日本で小さな部分月食が見られます。最大食分は0.658ということで、皆既月食ではありません。日本で今回の部分月食が見られる地域は、いずれも月が欠けたまま沈む月入帯食となり、あまり条件が良くありません。

月食が見られる地域

 下の図は月食が見られる地域を示した月食図です。これを見ると、日本列島の上を U1 のラインが通っています。詳しく見るとU1は、高知県東端から香川県中部、岡山県西端、島根県東端を通ります。これよりも右側(東側)の地域では、月没後に部分食が始まりますので、月食を見ることができません。逆に、左側(西側)の地域では月食が見られ、月が欠けたまま沈む月入帯食となります。
 

月食が見られる地域(NASA提供)

月食の時刻表

 今回見られる部分月食の時刻を表にまとめました。地球本影による部分食の始まりは7月17日の5時01分、最大食は6時31分、部分食の終わりは8時ちょうどとなっています。また、観測地ごとのデータも表にまとめました。参考にしてください。

半影食の始まり  7月17日  3時42.1分
部分食の始まり      5時01.3分
食の最大 6時30.7分
部分食の終わり 8時00.1分
半影食の終わり 9時19.4分
最大食分  0.658
観測地 欠け始め
月の高度
月の入り
(最大食となる)
日の出
時刻 
備考
時刻 食分 
札幌 -9.4度 4:05 なし 4:10 月食はみられない
東京 -5.4度 4:34 なし 4:37
大阪 -1.8度 4:54 なし 4:57
岡山 -0.6度 5:01 なし 5:03
松江 ※ -0.4度 5:03 0.02 5:05
松山 0.6度 5:08 0.08 5:10
広島 0.6度 5:08 0.08 5:10
福岡 2.5度 5:18 0.20 5:20
鹿児島 3.3度 5:23 0.24 5:24
那覇 8.2度 5:47 0.47 5:47
石垣島 11.9度 6:05 0.59 6:05
※月の高度は物理高度です。大気による浮き上がり現象により、松江ではかろうじて見ることができます。(果たして見られるか?)

月の経路

 下の図は、地球の影に対して月が通る経路を示したものです。月は右から左へ動き、地球の影の南端を通ります。本影を表す赤い部分に完全に入り込むことはなく、皆既月食にならないことがわかります。また福岡では、黄色の実線で示した丸印の位置で、月没を迎えて終了となります。

地球の影を通る月の経路

欠け方

 欠け始めは月の真上からやや右側です。時間がたっても欠ける方向があまり変わらないまま、食分が大きくなります。福岡の場合だと、2割欠けたところで月没を迎えて月食が終了します。この間わずか、17分しかありません。

福岡で3分こどの欠け方

※最後の2つは見ることができません。

月没時の見え方

 
 那覇の場合は月が沈む時刻が遅いため、半分弱欠けるところまで見られます。

那覇の場合(月没時)

見える位置

 日本の四島では比較的条件の良い福岡の場合、5時1分に西南西の低い位置で月食が始まります。高度はわずか2.5度しかありません。しかも19分後に日の出ですから、実際に肉眼で観測するのは大変かもしれません。また、5時18分に月の入りとなります。簡単に言うと日の出とともに月が沈んで、月食が終了します。

福岡で見える位置

那覇の場合

観測しよう

 今回の部分月食は条件が良くありません。観測できる地域でも月の高度が低い上に、日の出が間近に迫っています。しかも、低空は雲が出やすい上に地球大気による光の吸収もありますから、肉眼で観測するのは大変でしょう。ぜひとも双眼鏡を使って観測したいところです。
 
 それから、西から南西方向が地平線まで見渡せる場所から観測する必要があります。ビルの屋上や高台など、昼間のうちに良い場所を探しておきましょう。

次回の月食

 次回は2021年5月26日の夕方にきわどい皆既月食が見られます。食分が1に近いため、皆既継続時間が短いのが特徴です。

※このページのシミュレーション画像は、自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」に含まれる「つるちゃんの日食ソフト」プラグイン機能を使い、ΔT=69.2秒を入力して計算したものです。画像データは正確な予報と比較して、時間換算で10秒以内の誤差を含みます。