年末に月没帯食となる月食 2029年12月21日

 2029年は元旦に皆既月食があって驚かされましたが、年末にも月食が見られます。日本では月食中に月が沈む月没帯食となります。西日本の一部地域では皆既の状態で月没となって珍しい光景が見られるでしょう。しかし、日の出頃の話ですので、条件的には良くありません。

見える地域

 NASAが提供する月食図をご覧ください。日本付近では西日本にU2のラインが通っています。この線よりも右側では皆既になる前に月が沈み、左側では皆既の状態で月が沈みます。

月食が見られる地域(NASA提供の月食図)

月没帯食とは

 月没帯食とは、月食中に月が欠けたまま沈むことです。今回は多くの地域で皆既が始まる前後に沈みますので、日本各地で月食の前半が見られます。月食は必ず満月の時に起こりますので、満月が沈む頃はちょうど日の出の時間帯です。観測条件は決して良いものではありませんので、注意が必要です。
 
 東京で月の入りは6時46分です。この時の食分は0.70ですので、ちょうど7割が欠けた状態で沈むことになります。観測地点が違うと月が沈む時刻も違います。札幌・仙台・金沢・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇の8地点で、月の入り時刻での欠け方を載せておきました。参考にしてください。

東京で月没時の見え方

日本各地で月没時の見え方

月の経路

 下の図は地球の影を通る月の経路を示したものです。赤い円は地球の本影です。この内側に入ると太陽光が届かなくなり、月が欠けたように見えます。今回は月が本影の中へ完全に入り込みますので、皆既月食であることがわかります。しかし先に書いたように、日本の多くの地域では途中で月が沈んでしまいますので、皆既月食を楽しめるわけではありません。

地球の影を通る月の経路

欠け方

 月食の進行(食分)は日食と異なり、全国どこで見ても同じです。下の図は東京の場合ですが、月の高度以外は各地とも大きな違いはありません。しいて言うなら、欠ける方向が少しだけ違う程度です。
 
 5時55分に地球の本影が月の左上側に接することで月食が始まります。6時31分頃に食分は0.5に達し、直径の半分が欠けて見えます。時間の経過とともにその後も食が進みますが、月の入りまでしか見られません。どこまで欠けるかは、観測地点の月の入り時刻次第ということです。

東京での見え方
※左上の開始時刻を基準に12分間隔

見える位置

 月食は真西よりもやや北側、西北西の低い位置で見られます。東京の場合だと開始時刻の月の高度は8.6度しかありません。西から北西方向が地平線付近まで見渡せるような、視界が開けた場所からご覧ください。

東京で見える位置

 次回は2030年6月16日の未明に半分ほど欠ける部分月食が起こります。さらに皆既月食だと、2032年4月25日から26日かけての深夜に、条件良く見ることができます。

 

※このページのシミュレーション画像は、自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」に含まれる「つるちゃんの日食ソフト」プラグイン機能を使って ΔT=69.2秒を入力し、独自に計算したものです。画像の時刻は正確な予報と比較して、10秒以内の誤差を含みます。