天体望遠鏡を使って月を観測するとクレーターが見えます。特に三日月から半月頃の欠け際を見ると、無数と言ってもいいくらいに多くのクレーターが見えて驚かされます。三日月や半月の頃は太陽光が月面に対して斜めから当たっているため、クレーターによって影ができます。これによって凹凸感が生まれ、クレーターが立体的に見えるので確認しやすくなります。
ところが満月頃になると太陽光が正面から当たるので、クレーターに影ができなくなります。このため月の凹凸がわからなくなって、クレーターを観測するのが難しくなります。満月頃はクレーターが見えにくいのです。
月食中の月は三日月状に見えたり、少し欠けた半月形に見えることがあります。それなら月のクレーターもよく見えるのではないかと思われるかもしれません。しかし、三日月状に見えたり少し欠けた半月形に見えたりするのは見かけ上だけの話です。実態は満月そのもので、太陽光は月の正面から当たっています。ですから普段の満月のように凹凸感がなく、クレーターは見えにくいのです。