月食の周期

月食の周期と日食の周期

 日食が起こるのに周期性があるという話は有名です。もしかするとサロス周期という言葉を聞かれたことがあるかもしれません。日食に周期性があるなら、月食にも周期性があると考えるのは当然でしょう。なぜなら日食も月食も、太陽と地球と月の位置関係によって起こる現象で、これらの動きに関する基本的な考え方が同じだからです。

サロス周期

 紀元前3世紀から紀元前2世紀頃、ギリシャの天文学者に知られていたのがサロス周期です。日食の話でよく出てくる有名な周期で、18年11日と3分の1日ごとに日食が起こるというものです。このことは月食にもあてはまります。サロス周期には次のような特徴があります。

 サロス周期は周期が短い割には優秀です。ただ残念なのは周期に3分の1日がつきますから、1周期後には同じ観測地点では月が昇っておらず、月食を見ることができないことも多くなります。

メトン周期

 月食で一番おもしろいのはメトン周期かもしれません。メトン周期は紀元前433年にアテネの数学者メトンが最初に発見したと言われていますが、紀元前6世紀頃から中国でも知られていたそうです。同じ観測場所で周期性が保たれるかという点でいうと、日食に比べて月食の方が再現性が保たれます。

 例えば2010年元旦に小さな部分月食が起こりましたが、その19年後となる2029年も元旦に月食が起こります。ただし、こちらは皆既月食です。さらにその19年後の2048年にも元旦に起こります。こちらも皆既月食ですが、その19年後は前日の大晦日となり、しかも半影月食です。さらに19年後になると月食が起こらなくなります。

 次に7月7日の七夕に起こる月食を調べてみましょう。まず最初は2009年の七夕に半影月食が起こりました。次に、19年後となる2028年の七夕に部分月食が起こり、その後2047年にも皆既月食が起こります。さらに2066年の部分月食、2085年の半影月食と続きますが、ここで途絶えてしまいます。月食の一覧表から調べてみると、メトン周期に当てはまる月食が他にも見つかりますよ。

1年マイナス11日の周期

 短い周期では1年マイナス11日というのがあります。周期が短い割には意外と実用になります。例えば2010年6月26日の月食は、1周期後となる2011年6月16日と、2周期後となる2012年6月4日に月食が起こります。

 別の例をみてみましょう。2013年4月26日の月食では、2014年4月15日、2015年4月4日にそれぞれ月食が起こります。しかしさすがに2周期後ぐらいまでしか続きません。