中秋の名月といえばお月見。丸〜いお月様を見ながらおだんごを食べて・・・。風流でいいですね。でも、必ずしも真ん丸な満月とは限りません。しかも日付を注意してみると、9月であったり10月であったり、年によってまちまちです。果たして中秋の名月とはどういうものなのか、以降で詳しく解説しましょう。
今年の中秋の名月は9月17日です。暑さ寒さも彼岸までと言いますが、今年の彼岸入りは19日で、その2日前です。近年は夏が長くて9月でも暑い日が多く、もしかすると涼しげにとはいかないかもしれません。しかしそれでも名月を愛でながら、風流な気分を味わいましょう!
下の星図は2024年9月17日に東京で見られる中秋の名月です。21時頃に南東の方角をご覧ください。空の中ほどよりもやや低い位置に、真ん丸な月が見えます。すぐ右上には衝を迎えたばかりの土星も見えます。
今年の中秋の名月は満月よりも1日前です。このように書くと、満月でない中秋の名月があるのか、ちょっと不審に思われるかもしれませんね。しかし意外と、満月でない年も多いのです。今年を含めて今後6年連続で満月でない中秋の名月となります。詳しく知りたい方は、下の記事で詳しく書いていますので、そちらをご覧ください。
中秋の名月を拡大 |
中秋の名月はほぼ満月に近い月ですが、満月頃の月は太陽が西の空へ沈む頃、東の空から顔を出してきます。ですから宵の空でお月見をしようと思えば、東から南東にかけての方角が開けた場所で見るのが良いでしょう。もっとも、月の出から少し時間が経てば月の高度が上がってくるので、低い障害物ならあまり影響を受けなくてすみます。
双眼鏡や天体望遠鏡で見ると、満月なのでさぞかしクレーターがたくさん見えるかと思いきや、満月頃の月はクレーターを見るのに適していません。でも、なぜ? それは、満月頃の月は正面から太陽の光を受けるので影ができにくく、立体感がなくなってしまうからです。クレーターを見るのなら、クレーターの縁に影ができる三日月や半月頃の方が適しています。ちょっと残念ですが、日を変えてご覧になるとよいでしょう。
それはともかくとして、お酒を飲みながら、おだんごを食べながら、あるいはごろ寝をしながら、見方はさまざまですが、この機会に名月を眺めながら少し風流な気分を味わってみたいですね。
毎年9月頃に中秋の名月を迎えます(※年によっては10月となることもあります)。この日は月を眺めて楽しむ月見が行われます。月が見える場所にすすきを飾って、月見だんごやお酒、里芋、枝豆、栗などを供えて美しい月を愛でるとともに、秋の収穫に感謝するのです。地方によっては芋を供えることから、中秋の名月は「芋名月」と呼ばれることもあります。
中秋の名月を説明するには旧暦の説明をしなければなりません。現在使用されている新暦が、明治6年に誕生するまで使われていたのが旧暦または太陰暦と呼ばれるカレンダーです。現在旧暦は正式には使われておらず、過去の慣わしとして便宜的に、一部で使われることがある程度にすぎません。
新暦は太陽の動きを基準にして日付を決定しているのに対し、旧暦は月の満ち欠けを使って日付を決定ます。つまり、新月となる日がその月の1日となり、新月から何日目にあたるかで日付をカウントします。月齢が増えて月が太っていくとともに、日付の方も2日、3日と増えていき、満月になる頃が15日となります。その後は月は細っていき、次の新月となった日に、カレンダーの月も新しい月に変わります。
中秋の名月の話に戻りますが、中秋とは秋の真ん中のことを指します。旧暦の秋は7月、8月、9月ですから、秋の真ん中といえば8月15日になります。いわゆる旧暦の8月15日(八月十五夜)で、十五夜の月とよばれたりするのもこのためです。
ところで旧暦の15日といえば、新月から数えて15日目ですから、満月に近い月が見えるのは当然でしょう。満月が十五夜のお月様などと言われることからもわかります。現在の太陽暦では、新月となる日は毎年違っていますので、旧暦8月15日となる日も年によって違ってきます。
中秋の名月ではなく仲秋の名月と書かれることがありますが、両者が持つ意味合いは異なります。中秋が旧暦8月15日を指すのに対して、仲秋は秋の真ん中の月、つまり旧暦8月のことを指します。別の意味となるので注意しましょう。本来は旧暦8月15日にお月見をするので、中秋の名月と書くのが正しいといえます。
先に旧暦8月15日には満月に近い月が見えると書きましたが、実際には中秋の名月が必ずしも満月であるとは限りません。むしろ、満月でない年の方が多いといってもよいでしょう。これは月と地球の公転軌道の関係で、新月から満月までの日数が15日とは限らないために起こります。
満月と中秋の名月の関係は下の表を参考にしてください。
年 | 満月 | 旧暦8月15日 中秋の名月 |
---|---|---|
2000年 | 9月14日 | 9月12日 |
2001年 | 10月 2日 | 10月 1日 |
2002年 | 9月21日 | 同左 |
2003年 | 9月11日 | 同左 |
2004年 | 9月28日 | 同左 |
2005年 | 9月18日 | 同左 |
2006年 | 10月 7日 | 10月 6日 |
2007年 | 9月27日 | 9月25日 |
2008年 | 9月15日 | 9月14日 |
2009年 | 10月 4日 | 10月 3日 |
2010年 | 9月23日 | 9月22日 |
2011年 | 9月12日 | 同左 |
2012年 | 9月30日 | 同左 |
2013年 | 9月19日 | 同左 |
2014年 | 9月 9日 | 9月 8日 |
2015年 | 9月28日 | 9月27日 |
2016年 | 9月17日 | 9月15日 |
2017年 | 10月 6日 | 10月 4日 |
2018年 | 9月25日 | 9月24日 |
2019年 | 9月14日 | 9月13日 |
2020年 | 10月 2日 | 10月 1日 |
2021年 | 9月21日 | 同左 |
2022年 | 9月10日 | 同左 |
2023年 | 9月29日 | 同左 |
2024年 | 9月18日 | 9月17日 |
2025年 | 10月 7日 | 10月 6日 |
2026年 | 9月27日 | 9月25日 |
2027年 | 9月16日 | 9月15日 |
2028年 | 10月 4日 | 10月 3日 |
2029年 | 9月23日 | 9月22日 |
2030年 | 9月12日 | 同左 |
2031年 | 10月 1日 | 同左 |
2032年 | 9月19日 | 同左 |
2033年 | 9月 9日 | 9月8日(*) |
2034年 | 9月28日 | 9月27日 |
2035年 | 9月17日 | 9月16日 |
2036年 | 10月 5日 | 10月 4日 |
2037年 | 9月24日 | 同左 |
2038年 | 9月13日 | 同左 |
2039年 | 10月 2日 | 同左 |
2040年 | 9月21日 | 同左 |
2041年 | 9月10日 | 同左 |
2042年 | 9月30日 | 9月29日 |
2043年 | 9月19日 | 9月17日 |
2044年 | 10月 7日 | 10月 5日 |
2045年 | 9月26日 | 9月25日 |
2046年 | 9月15日 | 同左 |
2047年 | 10月 4日 | 同左 |
2048年 | 9月22日 | 同左 |
2049年 | 9月12日 | 9月11日 |
2050年 | 10月 1日 | 9月30日 |
大安吉日なんていう言葉がありますが、大安とは旧暦の頃に使われていた曜日のひとつです。現在の曜日は月、火、水、木、金、土、日の7つですが、旧暦の頃の曜日は大安、赤口、先勝、友引、先負、仏滅の6つで、六曜と呼ばれています。
ところで六曜の場合、旧暦で毎月1日の曜日が月ごとに決められていて、旧暦8月の場合の1日は友引とされています。2日目からは先の順に、先負、仏滅、大安、赤口、先勝、友引、・・・と順番にローテーションされていきます。
ということは、この順番でいけば中秋の名月となる旧暦8月15日は必ず仏滅となります。大安の日にお月見がしたいと言う方がおられるかもしれませんが、残念ながらかなわぬ願いです。しかも絶対に仏滅となるのですから、そりゃないよという気がしないでもありませんね。
雨名月という言葉があります。意味は読んで字のごとく、雨で見えない中秋の名月のことです。せっかく名月を愛でようと思っているのに余計なことを言うなと言われるかもしれませんね。
次は片見月(かたみづき)です。旧暦の9月13日に見える月のことを十三夜月といいますが、もう一つの名月として知られています。中秋の名月と十三夜月のいずれかしか見られない場合は片見月と言って、良くないこととされています。またよくない話でごめんなさい。
気を取り直して、月夕(げっせき)という言葉。こちらは月が明るい夜のことで、特に中秋の名月の夜を指します。これなら月光が明るくていい感じです。