月と火星の大接近を見よう(9月9日)

 8月27日には地球との大接近を演じたばかりの火星ですが、9月9日には日本よりもはるか北のシベリア地方で、月が火星を隠すという火星食になります。しかし、残念ながら日本からは火星食を見ることはできません。それでも月と火星は見かけ上の距離(角度)が大きく接近し、こちらも別の意味で大接近となります。月と火星がピッタリ並んだその様子は、きっと興味深い眺めとなりますよ!

 2日後の9月11日は満月で中秋の名月となりますので、ちょっと早いお月見もかねて火星と月の接近のようすをご覧になるというのはいかがでしょうか。

空のようす

9月9日20時30分 月の形 下の絵は9月9日20時30分、東京の空の様子です。東京以外の地域の方でもこれに近い空の様子を見ることができます。南東の空、高度30度あまりには、月齢13の大きな月が輝いて見えます。2日後が満月で中秋の名月ですから、この日はほんの少しだけ満月から欠けた状態で見えます。(右の絵)

 一方、下の絵では月と火星は重なってしまっていますが、月のすぐ下方向には、地球との大接近を終えたばかりの明るい火星が赤く光って見えています。暗い星なら明るい月の光にかき消されて、肉眼では見えなくなってしまうのですが、火星なら1等星の30倍もの明るさで輝いているので大丈夫でしょう。

 双眼鏡でもあれば、そのようすをさらにハッキリと確認することができるでしょう。両者の距離がかなり接近するので、天体望遠鏡で200倍くらいにまで倍率を上げても、両者を同一視野に捉えることができ、珍しい光景を目にすることができると思います。

2003年9月9日20時30分 月と火星の位置
2003年9月9日20時30分 月と火星の位置

 参考のため、上の絵を5倍に拡大したものを下へ載せておきま。

月と火星の位置 拡大図
2003年9月9日20時30分 月と火星の位置、拡大図

月と火星の位置関係

 月と火星の接近の様子は、観測地点によって少しずつ微妙に見え方が違ってきます。下の絵は日本国内の主な地点における月と火星の接近の様子です。実際には月が火星の上側を通り過ぎていくのですが、下の絵は月の位置を固定した場合の火星の位置変化を表しています。観測地名の横に表示された時刻は、その地点で最も月と火星が接近する時刻です。ただし、数分の誤差を含む点に注意してください。そして、その時刻の火星の位置は赤く塗りつぶした丸印で表示されています。

 おおまかに言えば、

   ・北の地域ほど月と火星は近くに接近する
   ・西の地域ほど月と火星が接近する時刻は早くなる

ということになります。月の直径は角度にして約0.5度しかありませんから、月と火星は本当に接近することがおわかりいただけるかと思います。

各地の月と火星の接近のようす

※上の絵は「天文ソフト つるちゃんのプラネタリウム シェア版」を改良して表示しています。
(上の絵は地平座標系で表示していますが、シェア版では赤道座標系による表示となります。)


男 : ほら、見てごらん。月と火星が接近しているよ。
女 : わあー、すっごく近づいててキレイ!
男 : 僕らふたりの距離もあんなふうに近づきたいね。
女 : ・・・、うん。

つる:−−>明日になれば、月と火星はすっかり離れてしまうんじゃ! (蹴り)