水星、金星が東方最大離角 2005年11月4日

ダブルの最大離角

 水星と金星は地球の内側の軌道を回る内惑星ですから、太陽からある一定角度以上に離れることはありません。したがって、真夜中に水星や金星が輝いて見えるといったことはありません。

 内惑星が太陽から最も離れた時は最大離角と呼ばれ、観測しやすくなるチャンスとして知られています。11月4日には偶然ですが、水星と金星が同時に太陽の東側へ最も離れる東方最大離角となります。

条件が良くない最大離角

 下の絵は日の入り時刻における水星と金星の位置変化を表したものです。最大離角といっても今回の場合、日の入り時刻の惑星の高度は金星の場合で20度ちょっとしかなく、水星にいたっては10度ほどしかありません。日の入り後、金星は3時間6分、水星は1時間4分という短い時間だけ顔を見せます。

日の入り時刻における水星の位置変化
日の入り時刻における水星の位置変化


日の入り時刻における金星の位置変化
日の入り時刻における金星の位置変化

見え方

 下の絵は東京での日の入り30分後における南西の空の様子です。水星も金星も、真西ではなくて南西方向に見えますので注意してください。日の入り30分後といえばまだ周りは明るくて、実際に星を見るのは困難な状態です。にもかかわらず、水星の高度は5度もありません。残念ですがはっきり言って、肉眼での観測はまず無理と思ってください。条件に恵まれれば、すぐ左側にある月齢2の月を頼りに、双眼鏡を使ってどうにか探し出すことができるかもしれません。

 一方の金星ですが、こちらは明るい上に高度もそこそこありますので、ピカピカと美しく光り輝く姿を見ることができるでしょう。いずれの惑星も、最大離角の頃に天体望遠鏡で観測すると、半月形をした水星や金星を観測することができます。

2005年11月4日 日の入り30分後 南西の空の様子(東京)
2005年11月4日 水星と金星が東方最大離角