水星日面通過 2006年11月9日

 天候に恵まれた所も多かったようで、「水星日面通過を見れたよ」という方も多かったのではないでしょうか。読者の方から天体望遠鏡を使って撮影した写真を提供していただきましたのでご覧ください。左側が今回の水星日面通過で、右側が2004年の金星日面通過です。こうしてみると、やはり水星と金星では大きさがずいぶんと違いますね。次は2012年に金星日面通過がありますよ。

水星日面通過(左側)と、2004年の金星日面通過(右側)の比較
 (つくば市ブン太郎さん提供)



比較的珍しい水星日面通過

 2003年5月7日から3年半ぶりに水星の日面通過が起こります。日面通過は日面経過、太陽面通過などともいわれており、みかけ上、太陽の上を水星が通過していき、水星像が小さな黒い丸形として観測される現象です。

 水星日面通過は地球と水星の公転軌道の関係から、5月と11月にしか起こりません。水星が日面通過する時には必ず内合となっており、[太陽]−[水星]−[地球]の順に一直線に並んでいます。地球から見た水星は、太陽を背にして背後から見る格好になるので、黒い小さな丸型に見えます。ちょうど、日食の時に月が黒い丸型をしているのと同じことですね。

 下の絵は「つるちゃんの3D太陽系」を使って表示した、水星日面通過頃の太陽系の様子ですが、[太陽]−[水星]−[地球]の順番で一直線に並んでおり、日面通過が起こる条件が整っていることがおわかりいただけると思います。

太陽系のようす

 水星の日面通過は同じような日面通過が13年の周期で見られると言われますが、5月に起こる日面通過については前回との位置のズレが大きくて、あまりあてになりません。これに対して11月に起こる日面通過は比較的精度が良くなっています。
 水星日面通過は比較的珍しい現象で、数年に一度の割合で起こっていましたが、次回日本で見られる水星の日面通過は2032年11月13日までありませんで、今後26年間は水星の日面通過を見ることができなくなってしまいます。先の法則でいけば、少なくとも13年後の2019年にも見られそうですが、残念ながらこの時は日本からは観測できません。日本から見られるのはさらに13年後ということで、今回の現象から26年後となっています。次回は26年後ですから、今回の水星日面通過は貴重な現象ですよ。


日面通過の経過

 今回の場合、日の出の時点で水星日面通過は既に始まっています。食の最大は6時42分で、日本ではこの頃に日の出を迎えます。このとき水星は太陽半径の6割弱まで太陽の中心へ近づいています。その後水星は太陽の中心から次第に離れていき、9時11分に終了します。

太陽面上での水星経路(赤道座標系)
太陽面上での水星の経路

東京での日面通過のようす(地平座標系)
東京で見る日面通過のようす

 当然のことながら、観測するためには天体望遠鏡が必要となります。投影版へ太陽像を映し出して観測するか、必要な減光の処置をしたうえで観測するようにしてください。間違っても肉眼で直接太陽を見たり、減光の処置をしていない双眼鏡や天体望遠鏡をのぞいたりしないでくださいね!


東京でのデータ

 東京での観測データをのせておきますので、参考にしてください。食の最大、第3接触、第4接触の時刻は、その他の地域でも東京とほぼ同じ時刻となり、ほぼ同じような経過をたどります。

項目 時刻 高度
水星の出 6時11.0分 0度
食の最大 6時41.7分 5度
第3接触 9時08.6分 29度
第4接触 9時10.5分 29度

「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある「日食と月食」で「食の種類」を水星日面通過に変更してから前回検索ボタンを押して(2009年の日付となっているため)、水星の日面通過の様子をシミュレーションしてみましょう。
 ※多少の誤差を含む点をご了承ください。