水星が東方最大離角で今年最高の条件 2010年4月9日

水星が今年一番の好条件

 いつも水星は太陽のそばにいて、その姿をなかなか見ることができません。水星は太陽系で最も内側を公転しているため、地球から見た水星は太陽からなかなか離れてくれないのです。そんな水星が4月9日に東方最大離角を迎え、今年一番の好条件で天体観測することができます。東方最大離角頃の水星は、太陽から東側へ最も離れます。しかもありがたいことに、この時期は地平線に対して垂直方向へ離れます。4月9日の場合だと、日の入り時刻における水星の高度は18度を超えており、またとない観測条件が整います。

 下の星図をご覧ください。日の入りから40分が経過した東京での西空の様子です。水星は10度あまりの高度に見えます。ここで注目したいのは、4月4日に水星へ3度まで近づいたばかりの金星です。金星は−4等級で強烈に明るく輝く惑星ですから、水星の位置を確認する際の良い目印になってくれます。普段だと「だいたいこの付近かなあ」と手探りで探さなければなりませんが、2010年4月9日の場合は金星の右側からやや下あたりを探せばよいのです。

 最大離角の頃の水星は0等級の明るさです。0等級といえば1等星よりもワンランク明るいので、簡単に見つけられると思われるかもしれません。しかし、水星が見える時間帯は薄明が強く残っていますから、ピカピカ輝いて見えるわけではありません。むしろかなり見にくくて、目を凝らすとポチッと光っているのが、ようやくわかる程度です。

 そこで、下の光度曲線をご覧ください。水星の明るさという面では、最大離角となる9日をはさんだ前半の方が有利であることがわかります。後半になると等級はマイナスからプラスに転じ、一気に暗くなります。最大離角となる9日にこだわらず、地平線付近までよく晴れた日があれば、早い目に見ておかれることをおすすめします。一番のおすすめは、水星と金星が3度まで近づく4月4日ですね。
 

日の入りから40分後、水星が見やすい。近くには金星も



光度曲線

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