金星の満ち欠け観測に最適 2012年3月後半から6月初旬

 金星は満ち欠けをする惑星として知られています。これは、金星が地球の内側を回る内惑星であるためです。火星などの外惑星ではこのようなことは起こらずに、いつも丸い満月か、満月が少し欠けて丸みを帯びた形をしています。

 金星の形は満月、半月、三日月、新月といったように次第に変化しますが、実は大半の期間は満月に近い形をしています。満月に近い形をしている頃は、大きさも小さくて変化に乏しく、天体望遠鏡で観測してもあまり面白みがありません。

 金星が地球へ最も近づき、金星が地球を追い越していく内合と呼ばれる頃は、形や大きさが一気に変化します。つまり、内合の前後に観測すると、日々変化する金星のようすを楽しく観測することができるのです。下の太陽系の図をご覧ください。今年、2012年の場合は6月6日が内合となりますから、この前後に観測すると金星観測の楽しさを味わうことができます。

内合を迎える金星と地球の位置関係
2012年6月6日、内合となった金星

 「つるプラ フリー版」による下のシミュレーション画像をご覧ください。3月中旬頃の金星は半月よりも少しだけ丸みを帯びた形をしてあり、大きさもそれほど大きくありません。しかし、3月下旬から4月に入ると半月のような形になります。そして1ヶ月後のゴールデン・ウィーク頃になると、三日月のような形になり、大きさも大きくなってきます。さらに5月中旬には三日月よりも細くなり、大きさもドンドンと大きくなります。5月下旬には糸のように細くなった金星を観測することができるでしょう。このように、わずか2ヶ月半ほどの間に、金星は大きく変化を遂げるのです。天体望遠鏡をお持ちの方は、ぜひこの機会に金星へ向けてみてください。

金星の形と大きさの変化
5日間隔、金星が満ち欠けするようす

 一方、日の入り時刻における金星の位置を確認してみましょう。3月27日に東方最大離角となり、太陽から最も離れます。そしてこの頃に、金星の高度の方も最も高くなります。しかし4月に入ると少しずつ高度を下げ始めます。5月に入ると40度ほどもあった高度が一気に低くなり始め、5月末には高度が10度を切ってしまいます。このように、金星の形が細くなるにつれて、一気に太陽へ近づいて観測条件が悪くなります。5月の後半は、観測できる日は絶対に観測するくらいの決意をもって観測しないと、細くなったようすを観察することはできなくなってしまいます。

日の入りの頃に見える金星の位置
日の入り時刻、金星の位置

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つるちゃんのプラネタリウム 天体観測ガイド2012年