日の出前に水星食 2013年12月2日

 12月2日の日の出前、日本全国で水星食が見られます。水星食とは水星が月に隠される現象のことです。水星は太陽が昇っていない時間帯に見える時間が短いですから、今回のように太陽が昇っていない時間帯に水星食が見られるのは珍しいことです。なお、次回に水星食が見られるのは2015年6月15日のことで、鹿児島以南で昼間の現象となります。

潜入

 関東よりも西の地域では、月へ水星が潜入する時刻は、月も水星もまだ地平線下にありますから、潜入の様子を観測することはできません。それ以外の地域では潜入を観測できますが、地平線から昇ってきたところで高度が低く、観測条件としては良くありません。

 この日の月齢は28.4で、新月手前の糸のように細い月です。潜入は月の明部で起こります。東京では5時28分に潜入しますが、これは月の出からわずか9分後のことです。また、東京での薄明は5時2分から始まっており、空が明るくなり始めています。日の出の6時33分まで1時間5分しかありません。

出現

 多くの地域では、水星が月の縁から現れる出現の様子を観測することになります。月は東南東から南東方向に見えますから、まずこれを探してください。といっても非常に細い上に空も明るいですから、肉眼で見つけるのは難しいかもしれません。

 出現は各地とも月の暗部で起こります。東京では太陽が昇ってくるわずか3分前に出現しますが、九州の福岡では日の出39分前に出現となり、やや条件が良くなります。いずれにしてもこの時間帯に肉眼で観測するのは難しく、最低でも双眼鏡が必須です。できれば天体望遠鏡を使って詳しく観測したいところです。

東京で水星が出現する直前



月の形
 

水星は面積がある

 水星は恒星と違って面積があります。しかも地球との距離がたえず変化していますから、大きさも日々変化しています。この日の水星の視直径は5.3秒(1秒=3600分の1度)ということで、潜入や出現には10秒から20秒ほどかかります。かかる時間は月の縁に対して水星が進む角度によって決まりますから、観測地点ごとに違ってきます。できれば天体望遠鏡を使って、ジワジワ隠れたり現れたりする様子を確認していただきたいと思います。

各地で見られる水星食(6時25分、出現の頃)のようす

※図では上側が北になっています。天頂とは違いますのでご注意ください。

水星食の時刻表

 主な地点における水星食の時刻表を掲載しておきますので参考にしてください。

観測地 月の出 日の出 第1接触
(潜入開始)
第2接触
(潜入終了)
第3接触
(出現開始)
第4接触
(出現終了)
札幌 5時29分 6時47分 5時46.1分 5時46.4分 6時25.7分 6時26.0分
仙台 5時19分 6時35分 5時33.5分 5時33.7分 6時29.8分 6時30.1分
東京 5時19分 6時33分 5時28.3分 5時28.5分 6時31.3分 6時31.4分
京都 5時34分 6時47分 6時28.6分 6時28.7分
福岡 5時54分 7時05分 6時26.2分 6時26.4分
那覇 5時52分 7時00分 6時19.6分 6時19.7分

天体観測サイト・つるちゃんのプラネタリウム 天体観測ガイド2013年