土星が衝 2015年5月23日

 観測条件が悪くなる木星に代わって、条件が良くなるのが土星です。土星は5月23日に衝となって観測条件が最も良くなります。衝とは惑星が太陽から180度離れた位置にやってくることです。つまり、太陽と反対側に見えるわけですから、一晩中観測できることになります。また、下に示した太陽系の図をご覧になるとわかりますが、土星は地球から最も近い位置にあります。こちらの意味でも観測条件が最も良いと言えます。

 ところで今、土星はてんびん座にあります。といっても、さそり座との境界付近です。5月23日の21時ごろですと、南東の空で比較的低い位置に見えます。東京くらいの緯度では南中高度が36度と低いですから、大気の影響を受けやすく、望遠鏡を使った観測には不利な条件です。大気が落ち着いた日をねらって観測しましょう。肉眼で見た土星は鈍い黄土色をして1.0等で光っていますから、すぐにそれとわかります。

 今の土星は環が26度も傾いており、開いた状態です。望遠鏡で観測すると環が本体を取り巻くような格好をして、構造がわかりやすい時期です。小型の天体望遠鏡ならA環とB環の間にあるカッシーニの隙間が見えるか確認しましょう。10cm以上の口径があればC環の存在がわかり始めますから、こちらも注目してください。

 それから衛星ですが、小型の天体望遠鏡でも8等級のティタン(タイタン)だけはすぐに確認できます。口径が20cmを超えてくると、テティス、ディオネ、レア、イアペトゥスの5個まで一気に増えますから、楽しさも倍増します。

 暖かくて観測しやすい季節ですから、ぜひ土星観測に励んでくださいね。

太陽、地球、土星の位置関係



5月23日21時ごろ 土星が見える位置

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