火星が地球へ中接近 2022年12月1日

 2022年12月1日に火星が地球へ最接近します。火星の公転軌道は楕円がきついため、どの位置で近づくかによって、地球との接近距離が毎回異なります。今回は2020年の準大接近に次ぐ中接近となります。

火星が見える位置

 夜の20時ごろ東の空を見上げましょう。空の中ほどに見え、明るくて赤い星が火星です。左側に黄色の0等星カペラや、右側にオレンジ色をした1等星アルデバランがあります。しかし、火星の明るさは-1.9等ということで、ずっと明るい上に赤い色をしていますから、一目で火星とわかるでしょう。

火星が見える位置

移動経路

 火星が地球へ接近する前後、火星の動きは複雑です。星図上で最初は右から左へ動きますが、10月30日に動きを止めて向きを変えます。地球最接近の頃は左から右へ動きます。これは地球が火星を追い越す時に見られる、一時的な現象です。2023年1月13日になると再び動く向きを変え、右から左へ移動する当初の動きに戻ります。
 
 日にちを置いて観測すると、星座に対して確かに移動していることがわかり、火星が惑星であることを実感できるでしょう。

経路(7日間隔)

拡大図

明るさ

 火星の明るさの変化を見てみましょう。これまでなだらかに明るくなってきて、12月上旬に明るさがピークとなります。この頃の明るさは-1.9等に達します。その後は比較的早いペースで光度が落ちていき、2月上旬にマイナス等級でなくなってしまいます。

光度変化のグラフ

見かけの大きさ

 視直径(見かけの大きさ)のグラフを見てみましょう。火星の大きさは地球との距離によりますから、最接近となる12月1日がピークです。この頃の視直径は17.2秒に達しますので、小型の望遠鏡でも楽しめるでしょう。

視直径のグラフ(180日間)

 次に20年間のグラフをご覧ください。2022年は中接近ということで2018年や2020年にはおよびませんが、比較的大きな火星が見られることがわかります。今回よりも大きな火星が見られるのは、11年後の2033年になってしまいます。

20年間の大きさ変化

距離

 下に示した太陽系の図を見ると、地球と火星はそこそこ近づくことがわかります。地球との距離は、大接近となった2018年の0.385AUや、2020年の準大接近 0.415AUにはおよびませんが、0.545AU(8,150万Km)と、まずまずの距離です。
 
 最接近時は火星と地球と太陽が一直線に並ぶのかと思いきや、そうではありません。一直線に並ぶ(衝となる)のは12月8日ですが、地球も火星も公転のため図よりも左側へ少し移動します。左へ行くほど地球と火星の間隔が開いていきますので、距離が遠くなるのです。

地球と火星の位置関係

表面模様

 火星は自転していますので、観測する日や時間によって、見える模様が違ってきます。自転周期は恒星に対して地球が0.9973日であるのに対して火星は1.0260日です。あまり違いませんので、翌日同じ時間帯に観測しても、見える模様は大差ありません。違う模様を見るためには、日をずらすよりも時間をずらすのが有効です。
 
 火星で最も濃くて見やすい模様は大シルチスです。20時に観測するなら12月11日から15日ごろ、0時なら12月18日から22日ごろ、4時なら11月14日から18日ごろが見やすくなります。残念ながら白く輝く極冠が見えづらい時期ですので、極冠の観測は難しいでしょう。

火星の様子(11月10日から3日間隔、20時)

11月11日から、0時の場合

11月11日から、4時の場合

次回の接近

 地球と火星が次回接近するのは2025年1月12日です。距離は0.642AUで、2022年よりも0.1AUほど遠くなってしまいます。比較的条件の良い今回、じっくり楽しみましょう。

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