日本で見られる皆既日食

 2009年トカラ列島での皆既日食以降でみると、日本付近で今世紀中に見られる皆既日食は全部で5回しかありません。このうち、日本列島で見られるものは2035年と2063年の2回だけです。

2009年7月22日 トカラ列島、日本の南海上

 2009年7月22日にトカラ列島から日本の南海上にかけて、日本国内で46年ぶりに皆既日食が起こりました。しかし悪天候で、日本からは海上がメインとなってしまいました。また、中国の上海なども皆既帯が通りました。しかし悪天候だった箇所も多く、明暗が分かれました。
 

 

2035年9月2日 日本列島中央

 2009年トカラ列島の皆既日食以降、26年ぶりに日本で見られる皆既日食です。皆既帯の幅が最も広くなるのは日本のはるか東南東海上で、その幅は116.3Km、皆既継続時間は2分54秒しかありません。日本では能登半島から長野、前橋、宇都宮、水戸といったあたりを細い皆既帯が通り、午前中に日食になります。皆既帯が通らない他の地域でも、日本各地で90%を超えるような非常に大きな食分となる部分日食を楽しむことができるでしょう。
 

 
 下の絵は長野の例ですが、日食は午前中から昼前にかけて起こります。皆既食となる10時4分頃には、太陽高度は53度もあって申し分ありません。長野での皆既継続時間は2分12秒ですから、それほど長いわけではありません。しかし日本列島で皆既日食を見られるのですから、ぜいたくは言ってられませんね。
 
皆既日食の全経過を見ることができる。黒い太陽の左下には金星が見える。

2042年4月20日 日本の南海上

 日本列島に平行するような形で日本の南海上、伊豆諸島と小笠原諸島の間を南西から北東方向へ皆既帯が通過します。わずかに鳥島が皆既帯に入ります。緯度にしてもう10度ほど北側を通過していたとすれば、きっと日本中が大騒ぎになることでしょう。東京で88%欠けるなど、列島各地で70%を超える大きな日食となります。

2063年8月24日 北海道南部と東北北部

 2009年に日本のトカラ列島で見られた今世紀最大の皆既日食から3サロス周期後にあたる日食です。津軽海峡付近を東南東方向へ中心線が通り、北海道の道南と青森県付近で皆既日食が見られます。函館では4分41秒、青森では4分8秒皆既が継続します。

 黒い太陽のすぐ近くにはしし座のレグルスが見られます。太陽の右上方向には金星が、左下方向には木星も輝いて見えます。日食は朝から始まり、10時半頃には終了します。その他の地域でも仙台で94%、東京で84%、大阪で76%欠けるなど、北の地域を中心に大きく欠ける部分日食を全国で楽しむことができます。
 
しし座レグルスのすぐ近くで起こる

2070年4月11日 南西諸島から日本列島の南海上

 先島諸島や沖縄本島のすぐ南から八丈島の南、伊豆諸島付近を東北東へ皆既帯が通ります。残念なことに宮古島や沖縄本島をかすめるように、すぐ南海上を皆既帯が通過します。那覇では食分が0.993でギリギリ皆既日食になりません。皆既帯から少し離れた仙台でも85%欠けるなど、お昼時をはさんで太平洋側の地域を中心に、80%を超えるような大きな食分となる部分日食を楽しむことができるでしょう。
 
那覇では太陽の上側がわずかに残り、皆既日食にはならない

2089年10月4日 先島諸島付近

 八重山諸島近海で皆既帯が東南東に通過します。わずかに宮古島北部が皆既帯にかかりますが、ほとんどが海上です。那覇で96%、福岡で72%欠けるなど、関東以西では軒並み50%を超える部分日食が見られます。

世界で見られる皆既日食、金環日食
20世紀に日本で見られた皆既日食