20世紀に日本で見られた金環日食

 ここでは、20世紀に日本で見られた金環日食を7つ紹介します。日本列島本土で見られた金環日食はひとつもありませんでした。

1904年3月17日

 フイリピン北部をかすめるように、金環帯が東北東の方向へ横切りました。日本ではこの帯の中へわずかに硫黄島、南硫黄島が入りましたが、北硫黄島はギリギリ入りませんでした。

1915年8月11日

 日本のはるか南海上を金環帯が通りました。この中へ母島、姉島、姪島、妹島が入りましたが、父島、兄島、弟島は入りませんでした。母島では6時頃に高度が12度あまりという低い位置で、1分25秒間の金環日食となりました。

1937年12月3日

 日本のはるか南海上を起点とする金環日食で、硫黄島、北硫黄島、南硫黄島、父島、母島が、太い金環帯の中に入りました。太いリングが特徴で、中心線から外れた母島でも5分以上の継続時間がありました。中心線に最も近い北硫黄島では7分18秒も継続しました。
 
1937年

1948年5月9日

 北海道の礼文島の中央部を、1Kmちょっとしかないという細い金環帯が通りました。礼文島の一部では1秒だけというごく短い金環日食になりました。皆既日食に限りなく近い金環日食でしたので、月の谷間から随所でリング状に光が漏れ、全周にわたってベイリービーズが観測されました。稚内では中心線から21Kmしか離れていなかったのですが、残念ながら下のように99%を超える部分日食で終わりました。
 
1948年

1955年12月14日

 アフリカ北部で始まり、インド洋を通り、台湾の東海上で終了する金環日食でした。日本では石垣島、西表島、与那国島がかろうじて金環帯の東端へギリギリ入り、日没寸前だったというのもこの日食の特徴です。中心線が通った与那国島では完全に同心円状をした太陽のリングとなり、7分27秒も金環日食が継続しました。
 
1955年
 
1955年、太陽の位置

1958年4月19日

 2012年に日本で見られる金環日食から数えて3サロス周期前の金環日食で、九州の南海上を北東方向へ金環帯が通りました。北限線が九州と種子島の間を通っていたため、九州南端では部分日食に終わってしまいました。中心線に近い悪石島では比較的細いリングにもかかわらず、金環状態が7分2秒も継続したので、きっと見ごたえがあったことでしょう。
 
1958年

1987年9月23日

 金環帯が北西から南東方向へ横切り、沖縄本島をすっぽりと覆った金環日食です。那覇も金環帯に入り、細いリング状の太陽が3分17秒にわたって観測されました。
 
1987年

日本で見られる金環日食