今日は11月14日で、いよいよ皆既日食。日食は5時44分から始まるということで、3時半にホテルを出発。このため今朝は2時半起き。昨日の船酔いに加えて寝不足続きで正直つらいが、そんなことは言ってられない。この日のために、わざわざオーストラリアまで来たのだから。
空はベタ曇りではないが、やはり雲が多い。今日もシャワーなのではないかと不安が高まる。皆既日食が見られる予定の東の空は厚い雲に覆われる。日の出前に南半球の星空鑑賞といきたかったが、それもままならない。かろうじて南十字星がチラッと見えたのが、せめてもの救いだ。
空がだんだんと明るくなり、間もなく日の出。しかし雲が厚いまま、5時35分の日の出を迎えてしまった。そして10分後には日食が始まる。なんとか晴れてくれ! しかし願いも空しく、そのまま日食が始まった。
悪いことに雨まで降り出してきた。シャワーだ。機材に袋をかぶせて傘を差す始末。このままだと2009年の二の舞ではないか? その後いったん雨は止んだが、やはり雲が厚い。
食が進んできて、食分は0.5、0.6を次々に突破。そしてついに0.7を超えてきた。しかしここまで太陽はチラリとも姿を見せない。悲しいことに、シャッターを押したのは一度もナシ。皆既日食となる6時38分まで15分を切ってきた。もうダメだ。空しさと脱力感で、その場にしゃがみ込んでしまった。
と、その時である。太陽の方角が明るくなってきた。太陽の周りの雲が急速に切れていく。そして、大きく欠けて細くなった太陽が姿を現したではないか! 雨のためにしまっていた日食グラスや双眼鏡を大慌てで取り出す。
ここへきて初めてカメラのシャッターを切る。皆既日食を予感させるような細くなった太陽が写った(右の写真)。薄雲がかかりながらも細くなっていく太陽。柔らかな日差しが地上に振り注ぐ。皆既日食まであとわずか。スケジュール表を確認するゆとりもなく、思いつきでカメラのNDフィルターを外した。