日食網膜症

 日食網膜症は、誤った太陽観察方法によって起こる目の障害の総称です。誤った方法で日食を観察すると永久的な視力低下をまねいたり、最悪の場合は失明することもあります。日食の時に必ずといってもいいほど多くの方が視力障害を起こしており、日食網膜症とよばれています。
 
 日食網膜症は太陽を直視することによって、目の奥に赤外線やブルーライトとよばれる光を浴び、網膜がヤケド状態になったり、光化学的作用によって網膜細胞が機能を失うことから起こります。網膜や水晶体には熱さや痛みを感じる神経がありませんら、危険な状態であってもすぐにわからないのです。
 
 網膜は視覚を感じ取る細胞の集まりですから、ここがやれると視力障害が起きてしまいます。網膜が破壊されると、最初は眩しさや充血といった違和感が生じます。しばらく経つと視力低下や暗点が見えたりし始めて、ひどい場合は視界の一部や全部が失われます。数週間から数ヶ月をかけて回復することも多いですが、最悪の場合は一生視力を回復することができなくなってしまいます。
 
 日食網膜症を引き起こさないためには、何よりも安全な観察方法をとることです。日食メガネを使うだけでなく、周囲から漏れて目に飛び込んでくる太陽光を遮蔽したりして、より適切なやり方で日食観察したいものです。