シャドーバンド

 シャドーバンドは縞模様状に薄い影が、地表面を速い速度でさざ波のように流れていく現象です。

シャドーバンドの発見

 1820年3月14日に起きた皆既日食の時、ヘルマン・マイヤー・ザロモン・ゴルトシュミットというドイツ出身の天文学者がシャドーバンドを観測し、はじめて記録に残しました。

淡くてわかりづらい現象

 シャドーバンドは皆既日食となる直前または直後に見られることがあります。しかし非常に淡いものですから、太陽の方に気を取られていると見逃してしまいます。また、毎回必ず見られるというものではありせん。非常に淡い現象でわかりにくいものですから、ベテランの観測者でも一度も見たことがないという方もおられます。シャドーバンドの縞模様は、白い紙や布を地面へ置いておくと見やすくなります。

シヤドーバンドの動き方の説明図縞模様の動き方

 縞模様は数cmから数十cmの間隔で現れます。これが毎秒0.5mから数mも移動し、小刻みに動くさざ波のように見えます。シャドーバンドの動く方向は決まっています。右の図のように、皆既となる太陽と月の接触部分の接線に対して垂直方向に動きます。

起こる原理

 シャドーバンドの縞模様は、密度のムラができた地球大気を太陽光が通るときに、細長い影を作ることによって起こります。これは星がまたたくのと同じような原理ではないかと考えられています。

天空のシャドーバンド

 2010年7月11日に起きた皆既日食では、薄雲に縞模様が映し出される現象がはじめて観測され、天空のシャドーバンドとよばれました。しかもハオ島とイースター島という3千Kmも離れた地点で観測されて話題になりました。