アインシュタインの皆既日食

皆既日食と一般相対性理論

 アインシュタインといえば特殊相対性理論と一般相対性理論を発表した天才物理学者として有名です。このうち、一般相対性理論の正確性を検証するために、皆既日食が利用された話は有名です。つまり、太陽は質量が大きいために太陽の近くの空間はゆがめられており、その結果、太陽の近くを通過した恒星の光は進路が曲げられるのではないかというのです。

 しかし、通常は太陽の光がまぶしすぎて、太陽の近くに見える恒星位置を測定することができません。そこで、皆既日食の時に太陽の光が弱まるのを利用して測定しようというのです。アインシュタインの計算では、太陽の近くを通る恒星の光は1.75秒(1秒=3600分の1度)だけ曲げられるはずです。
 
皆既日食を使った一般性相対性理論の検証
 
 下の絵はアインシュタインが一般相対性理論の正確性を検証するのに用いた皆既日食です。この皆既日食は2009年に日本のトカラ列島などで起こった21世紀最大の皆既日食から5サロス周期前にあたる皆既日食で、1919年5月29日に起こったものです。
 
 観測場所はアフリカ西海岸のギニア湾に浮かぶプリンシペ島という奄美大島くらいの大きさの島です。皆既日食の際には太陽高度が45度ほどあって、最大食となる頃には本影の中心から33Km程度しか離れておらず、条件的には申し分ありません。皆既日食は日本時間で23時13分頃から始まり、5分間継続しました。
 
 この皆既日食によって太陽付近に見えるおうし座の恒星位置が1.61秒ずれていることがわかり、理論上の計算値1.75秒とよく一致していました。これによって、アインシュタインの一般相対性理論の正しさが証明されたのでした。
 
皆既日食時の太陽の位置。空の中ほどに黒い太陽が見える
 
黒い太陽の背景におうし座の恒星が見える

※上の画像は「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」を使用しています。観測地「(サントメ・プリンシペ) プリンシペ島」を選択することにより、同様な画像を表示することができます。