皆既日食は将来なくなる?

 現在、月と太陽はそれぞれ大きさと距離が微妙な関係にあります。地球から見た月と太陽との距離の比と、月と太陽の直径比が近い数値であるため、皆既日食が見られたり、金環日食が見られたりします。このことは皆既日食と金環日食の両方が起こる理由でお話したとおりです。しかし、そのバランスが崩れる日がやってきます。
 
 地球は潮の満ち引きによって、海水との摩擦が絶えず発生しています。このため、地球の自転は毎年1万分の1秒ずつ遅くなっています。このことが原因で、角運動量保存の法則によって、月は年に3.8cmずつ地球から遠ざかっています。「なんだ、たったの3.8cmか」と思われるかもしれませんが、100万年経てば38Km。チリも積もればです。
 
 ところで地球と月の平均距離は、現在38万4400Kmあります。これよりも2万3410Km月が遠ざかると月の本影が地球へ届かなくなり、皆既日食が起こらなくなると言われています。つまり、単純に計算すると、6億年ちょっと後には皆既日食が起こらなくなるのです。まだまだ先といえば先の話ですが・・・。