10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)

 10月りゅう座流星群は以前はジャコビニ流星群として知られ、大出現して世界中を驚かせたことのある流星群です。10月りゅう座流星群は母彗星であるジャコビニ・チンナー彗星が回帰した時は活発に活動します。しかし、それ以外の年は出現数が極端に少なくなるという特徴があります。

2023年は10月9日の宵が見ごろ、条件良

 2023年の10月りゅう座流星群は観測条件が良い方です。
 
 2023年の極大時刻は10月9日の16時ごろです。東京では太陽が昇っている時間帯で、流星群を観測できる時間帯まで3時間あります。ピークの時間が短いこの流星群としては、微妙なところです。したがって、極大時刻はあまり良くありません。
 
 次に月の条件です。9日19時の月齢は24.3で、下弦から3日後の月です。東京では翌日1時9分に月が昇ってきますが、観測しやすい時間帯を過ぎていますし、三日月形ということで、光がやや弱まっています。このように、月の条件は良い方です。
 
 そんなわけで2023年の観測条件はまずまず良い方です。母彗星のジャコビニ・チンナー彗星は2025年3月に回帰しますが、出現はあまり期待できないでしょう。
 
 10月りゅう座流星群の流星はフワッとゆっくり流れます。特徴ある独特な飛び方ですから、一度ご覧になってみてください。

10月りゅう座流星群の出現イメージ

 以降では、10月りゅう座流星群について詳しく解説していますのでお読みください。

10月りゅう座流星群とは

 ジャコビニ流星群というと聞き覚えがあるかもわかりませんが、10月りゅう座流星群とは聞きなれない方が多いでしょう。当サイトの天体観測ガイドで取り上げるのも初めてです。ジャコビニ・チンナー彗星を母彗星とする流星群であるため、以前はジャコビニ流星群と呼ばれていました。しかし国際天文連合(IAU)による公式名称が10月りゅう座流星群と確定したため、現在ではこのように呼ばれています。

活動期間

 活動期間は10月5日から10月13日とされています。極大日は10月8日か10月9日となる年が多くなりますが、年によってはほとんど出現しない年もあります。それというのも10月りゅう座流星群は、若い流星群であるため流星のもととなるチリの分布がまばらで、母彗星が回帰した時にだけ活動するのです。ですから母彗星が回帰しない年は流星の出現数がきわめて少なく、1時間に数個見れたらいい方です。しかし、母彗星が回帰する年にタイミングが合うと大出現し、皆を驚かせる気まぐれな流星群です。

過去には大出現

 10月りゅう座流星群の過去の歴史を振り返ると、ジャコビニ流星群として知られた頃から13年ごとに大出現しています。それでは、その歴史を振り返ってみましょう。

1933年にヨーロッパで流星嵐

 まず最初は1933年にヨーロッパで流星嵐が見られました。イタリアでは1分間に480個の流星が見られたといいます。ZHR(最高の条件下を仮定した場合の1時間換算出現数)では12,000個に達し、世界中にジャコビニ流星群の名をとどろかせました。

1946年にアメリカで流星嵐

 1933年から13年後となる1946年には、アメリカで流星嵐が観測されました。この時は13年前よりも規模が大きく、ZHR(最良の条件下換算)で 12,000個から15,000個 に達しました。

1972年は日本で空振り

 日本では1972年10月8日に、大流星嵐が見られるのではないかと期待されました。れというのも1933年や1946年に見られた流星嵐の時よりも条件が良く、母彗星の軌道が地球の軌道に0.0007AU(約10万Km)まで近づいたからです。月までの距離が38万Kmであることを考えると、その近さがわかるというものです。しかし実際には流星はほとんど観測されず、完全な空振りに終わってしまいました。

1985年と1998年に多数出現

 空振りとなった1972年から13年後となる1985年は、1972年よりも条件が悪かったことから、あまり期待されていませんでした。しかし日本で10月8日の19時頃に、ZHR換算で220個の流星が出現しました。しかしピークは短時間で終わったようです。また、その13年後となる1998年も活発に活動し、10月8日22時頃にZHR換算で720個の流星が見られました。

見える方向と時間

 輻射点(放射点)はりゅう座の頭付近にあります。したがって10月頃だと夕方に高度が高くなり、時間の経過とともに高度が下がってきます。つまり、夕方頃が最も良い条件となります。見える方向はそれほど考えなくても大丈夫なのですが、輻射点のある方向を見たい方は、北西から北の方角に注目するとよいでしょう。

流星の見え方

 10月りゅう座流星群のもととなるチリは、秒速20Kmという速さで地球へ飛び込んできます。これは流星としては遅いもので、ゆっくりした速度で流れるのが特徴です。といっても流れ星は一瞬で消えてしまうことに変わりはありません。また、流星は暗いものが多いですから、空が十分に暗い場所から観測されることをおすすめします。

流星の数

 通常の出現数は非常に少なく、1時間当たりに最大で数個しか見ることができません。ひどい年にはほとんど出現しないこともあります。しかし、母彗星のジャコビニ・チンナー彗星が回帰すると、出現数がぐっと多くなります。もしかすると運良く流星雨が見られるかも!?

過去の記事

 過去に当サイトで紹介した記事を10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群) 過去の記事のページでまとめました。もしよろしければご覧ください。