10月りゅう座流星群は以前はジャコビニ流星群として知られ、大出現して世界中を驚かせたことのある流星群です。10月りゅう座流星群は母彗星であるジャコビニ・チンナー彗星が回帰した時は活発に活動します。しかし、それ以外の年は出現数が極端に少なくなるという特徴があります。
2024年の10月りゅう座流星群は観測条件が良い方です。
2024年の極大時刻は10月8日の22時ごろです。ピークの時間帯が短い流星群ですから、極大時刻がものを言います。東京では夜間ですし、輻射点は地平線よりも上にあります。最良ではないにせよ、極大時刻の条件としてはだいぶ良い方です。
次に月の条件です。8日19時の月齢は5.6です。三日月よりもだいぶ太っていますが、半月頃と比べると月明かりは少しマシです。といっても10月りゅう座流星群は暗い流星が多いですから、月明かりがないに越したことありません。東京では20時06分に月が沈みますから、月の条件としては良い方です。
そんなわけで2024年の観測条件は最良ではありませんが、全体的に良い方です。母彗星のジャコビニ・チンナー彗星は2025年3月に回帰しますが、出現はあまり期待できないでしょう。
10月りゅう座流星群の流星はフワッとゆっくり流れます。特徴ある独特な飛び方ですから、一度ご覧になってみてください。
10月りゅう座流星群の出現イメージ |
以降では、10月りゅう座流星群について詳しく解説していますのでお読みください。
ジャコビニ流星群というと聞き覚えがあるかもわかりませんが、10月りゅう座流星群とは聞きなれない方が多いでしょう。当サイトの天体観測ガイドで取り上げるのも初めてです。ジャコビニ・チンナー彗星を母彗星とする流星群であるため、以前はジャコビニ流星群と呼ばれていました。しかし国際天文連合(IAU)による公式名称が10月りゅう座流星群と確定したため、現在ではこのように呼ばれています。
活動期間は10月5日から10月13日とされています。極大日は10月8日か10月9日となる年が多くなりますが、年によってはほとんど出現しない年もあります。それというのも10月りゅう座流星群は、若い流星群であるため流星のもととなるチリの分布がまばらで、母彗星が回帰した時にだけ活動するのです。ですから母彗星が回帰しない年は流星の出現数がきわめて少なく、1時間に数個見れたらいい方です。しかし、母彗星が回帰する年にタイミングが合うと大出現し、皆を驚かせる気まぐれな流星群です。
10月りゅう座流星群の過去の歴史を振り返ると、ジャコビニ流星群として知られた頃から13年ごとに大出現しています。それでは、その歴史を振り返ってみましょう。
1933年にヨーロッパで流星嵐
まず最初は1933年にヨーロッパで流星嵐が見られました。イタリアでは1分間に480個の流星が見られたといいます。ZHR(最高の条件下を仮定した場合の1時間換算出現数)では12,000個に達し、世界中にジャコビニ流星群の名をとどろかせました。
1946年にアメリカで流星嵐
1933年から13年後となる1946年には、アメリカで流星嵐が観測されました。この時は13年前よりも規模が大きく、ZHR(最良の条件下換算)で 12,000個から15,000個 に達しました。
1972年は日本で空振り
日本では1972年10月8日に、大流星嵐が見られるのではないかと期待されました。れというのも1933年や1946年に見られた流星嵐の時よりも条件が良く、母彗星の軌道が地球の軌道に0.0007AU(約10万Km)まで近づいたからです。月までの距離が38万Kmであることを考えると、その近さがわかるというものです。しかし実際には流星はほとんど観測されず、完全な空振りに終わってしまいました。
1985年と1998年に多数出現
空振りとなった1972年から13年後となる1985年は、1972年よりも条件が悪かったことから、あまり期待されていませんでした。しかし日本で10月8日の19時頃に、ZHR換算で220個の流星が出現しました。しかしピークは短時間で終わったようです。また、その13年後となる1998年も活発に活動し、10月8日22時頃にZHR換算で720個の流星が見られました。
輻射点(放射点)はりゅう座の頭付近にあります。したがって10月頃だと夕方に高度が高くなり、時間の経過とともに高度が下がってきます。つまり、夕方頃が最も良い条件となります。見える方向はそれほど考えなくても大丈夫なのですが、輻射点のある方向を見たい方は、北西から北の方角に注目するとよいでしょう。
10月りゅう座流星群のもととなるチリは、秒速20Kmという速さで地球へ飛び込んできます。これは流星としては遅いもので、ゆっくりした速度で流れるのが特徴です。といっても流れ星は一瞬で消えてしまうことに変わりはありません。また、流星は暗いものが多いですから、空が十分に暗い場所から観測されることをおすすめします。
通常の出現数は非常に少なく、1時間当たりに最大で数個しか見ることができません。ひどい年にはほとんど出現しないこともあります。しかし、母彗星のジャコビニ・チンナー彗星が回帰すると、出現数がぐっと多くなります。もしかすると運良く流星雨が見られるかも!?
過去に当サイトで紹介した記事を10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群) 過去の記事のページでまとめました。もしよろしければご覧ください。