5月きりん座流星群(仮称) 2014年5月24日

 2014年5月24日の夕方は、今までにはなかった新しい流星群、5月きりん座流星群(仮称で以下、きりん座流星群)が見られるのではないかと期待されています。

きりん座流星群とは

 今回予報されている きりん座流星群の流星は、経路を逆方向へ延長すると、全てきりん座のある一点(これを輻射点または放射点という、α=125度、δ=+79度)に到達します。流星はきりん座の方向から飛んでくるように見えるため、きりん座流星群とよばれます。下のイメージ図をご覧ください。きりん座の方向から流星が放射状に飛び出していますね。

 ところで、例年はきりん座流星群を見ることはできません。しかし今年は、リニア彗星(209P/LINEAR)という彗星が作るダスト・トレイルの中を、地球が通過します。このことから、2014年に限って流星群が見られると予報されています。ダスト・トレイルとは、母彗星が放出した流星のもとになるチリが、彗星軌道上に残ってチューブ状に集まったものです。この中を地球が通過すると、多くの流星が見られるのです。

5月24日に見られるかもしれない きりん座流星群の出現イメージ

2014年5月24日の夕方に見られる?

 きりん座流星群の極大時刻は、5月24日の16時ごろとみられています。最適地は北米からハワイ方面で、残念ながら日本では昼間にあたってしまいます。そんなこともあって、日本では観測条件が良くありません。しかし、24日夕方の19時台から20時台にかけて、収束しつつあるきりん座流星群を観測できるかもしれません。また、予報よりも極大時刻が後ろへずれ込めば、多くの流星が見られる可能性もあります。日本から実際に観測できるかどうかわかりませんが、5月24日の夕方は、北の空に注目しましょう。

出現数

 今回は1903年に放出されたダスト・トレイルをはじめ、地球の公転軌道付近に何本ものダスト・トレイルが多く集まっています。放出された当時の母彗星の活動が活発だったとすると、それこそ大出現する可能性もないわけではありません。

 しかし、きりん座流星群の母彗星であるリニア彗星は、発見された2004年以降、あまり活動的ではありません。そこから考えると、流星のもととなるチリの密度が低く、きんりん座流星群は平凡な出現数で終わってしまう可能性も十分にあります。

 出現数を予測するのは専門家でも難しく、理想的な条件下での1時間最大出現数(ZHR)は、研究者によって15個から400個と、予報にバラツキがあります。日本での条件は良くありませんから、過度な期待をせず、流星がたくさん見られたらラッキーぐらいの気持ちで観測にのぞんだ方が良さそうです。

流星の見え方

 きりん座流星群に属する流星の対地心速度は16Km/秒です。たったの1秒間で16Kmも進むことになり、時速になおすと57600Km。とんでもない速度ですね。しかしそれでも、流星としては非常に遅い方です。見かけ上はゆっくりとした速度で、フワ〜ッと流れるのではないかと思います。

 それから、先に輻射点はきりん座にあると書きました。しかし、きりん座といってもよくわからない方が大半でしょう。輻射点の位置をよく確認してみると、実際にはこぐま座流星群よりも北寄りで、北極星の近くと言っても過言ではありません。つまり、流星は北極星から遠くない場所から飛んでくるように見えるのです。

たくさん見るコツ

 流星をたくさん見るためのコツは、空が暗い場所で見ることと、視界が開けた場所で見ることです。空が明るいと暗い流星が見えなくなるため、数が減ってしまいます。また、視界をさえぎる物があると確実に取りこぼしが発生し、こちらも数が減ってしまいます。遮蔽物が多い場合は、北の方角だけでも開けた場所を確保してください。事前にとっておきの場所を探しておいてくださいね。