2014年12月2日の未明は、幻のほうおう座流星群が出現すると予報されています。しかし残念ながら、日本からの観測条件は最悪です。
ほうおう座流星群はカナリア諸島で1時間換算で12個観測されるなど、世界各地で観測されました。58年ぶりにフェニックスがよみがえりましたが、当初の予想よりも少ない出現となりました。 |
1956年12月5日に突如出現し、南極観測船の宗谷で唯一観測されたのが、ほうおう座流星群です。このときは1時間あたりに最大で300個もの流星が出現しました。しかし、その後は一度も出現しておらず、幻の流星群とよばれてきました。
例年は、ほうおう座流星群を見ることはできません。しかし2014年は、1925年と1909年および、その他複数の年に母彗星から放出されたダスト・トレイル(流星のもとになるチリの帯がチューブ状に集まったもの)を、地球が通過または接近します。このことから、2014年に限って久しぶりに流星群が見られるのではないかと期待されているのです。
ほうおう座流星群の極大時刻は、12月2日の9時ごろと予想され、8時から10時ごろに出現するとみられています。このことから、観測の最適地は南大西洋とされています。日本では昼間にあたってしまう上に、輻射点もはるか地平線下にあり、条件的には最悪です。
下の星図は12月2日0時に東京から南西方向を見たものです。ほうおう座流星群の輻射点を示した緑色の十字型は地平線付近にあり、まもなく沈んでしまいます。極大時刻は9時間も後ですから、日本で大出現する可能性は低いと考えられます。しかし、何が起こるかわかりません。12月1日の夜から2日の夜明け前まで、南西から西方向の地平線付近に注目したいところです。
ほうおう座流星群が見られた場合のイメージ |
出現数を予測するのは専門家でも難しく、1時間あたりの最大出現数(HR)は、数個から150個程度とばらつきがあります。日本での条件は良くありませんから、あまり期待せず、もし流星が見られたらラッキーぐらいの気持ちで観測にのぞんだ方が良さそうです。
一般的に流星群の名前は、流星が飛び出してくるように見える方向に位置する星座の名前が付けられます。今回はほうおう座流星群ですから、ほうおう座の方向を中心にして、流星が飛び出してくるように思われるかもしれません。しかしながら今回は、ほうおう座よりも少し北で、くじら座とちょうこくしつ座の境界付近が輻射点(放射点)になります。ご注意ください。
地球に飛び込んでくる流星のもととなるチリの速度は、およそ10Km/秒 くらいの速さです。これは流星としては非常に遅いものですから、流星はゆっくりと流れます。日本では輻射点が地平線付近か地平線下にありますから、上方向にフワッとゆっくり浮かび上がってくるように見えるものと思われます。
ほうおう座流星群の母彗星はブランペイン彗星(289P/Blanpain = P/1819W1 = 2003WY25)とされています。小惑星とも思われたこの天体は、2013年7月に急増光したことから、現在も彗星としての活動が続いているようです。