7月1日0時、8月1日22時、9月1日20時
たて座の見え方 |
たて座付近の星図 |
「たて」と言うと、縦横の縦を連想してしまうかもしれませんが、たて座は実在した人物ソビエスキーが使った盾のことです。ポーランド国王ヤン3世ソビエスキーは1683年にオスマン・トルコ帝国の大軍に勝利しました。これを受けて回教徒軍に対するキリスト教徒軍の勝利を記念し、ソビエスキーの盾をヘベリウスが星座としたのです。星座絵では盾にソビエスキーが聖なるものとして守護した十字架が描かれています。当初はソビエスキーの盾座とされていましたが、フラムスチードの星図以降は単に、「たて座」と呼ばれるようになりました。
たて座は小さな星座です。面積は109平方度しかなく、みなみじゅうじ座、こうま座、や座、コンパス座に次いで、全天で5番目に小さな星座となっています。
いて座付近で最も幅が広くなる天の川を北上していきスタークラウドを過ぎると、夏の天の川はいったん薄くなります。しかし、たて座のあたりまでくると、再び明るく盛り上がって見えます。肉眼では小さな雲のように見えることから、「スモール・スタークラウド」とよばれています。また、「たて座のスタークラウド」とよぶこともあります。ヨーロッパではカモの羽に似ていることから、スモール・スタークラウドは「ワイルト・ダック・クラウド」とよばれています。
たて座のスモール・スタークラウドのあたりへ双眼鏡を向けると、小さな丸いというか、どちらかというと四角っぽい光芒が飛び込んできます。これはM11という散開星団です。M11は野鴨のように見えることから、一部では「ノガモ星団」とよばれることがあります。M11は散開星団としては集中度が高いため、分解能が低い小型の天体望遠鏡では、球状星団のようにも見えます。大型で明るいため、小口径の天体望遠鏡の良い観測対象となるでしょう。