高度(こうど)
天体観測をする場合、天体の高度は大変重要な要素のひとつです。高度が低いと次のような弊害がでてくるからです。
大気による光の吸収
地球の大気は光を吸収します。高度が低くなとる大気を通過する距離が長くなりますから、当然、大気による光の吸収も激しくなります。特に、青い光は地表まで届きにくいので、低い高度にある天体は赤っぽく見えます。日中はまぶし過ぎて肉眼では見えない太陽も、日の入り頃にはどうにか見えるようになったり、夕日が赤く見えたりするのはこのためです。大気による減光のため暗い星は高度が低くなるとたちまち見えなくなってしまいます。
大気の気流による乱れ
大気を長く通過すると、それだけ大気の気流による乱れの影響を受けます。星がキラキラまたたくのも気流の影響ですが、このような状態では惑星表面の微細な模様や2重星を観測するには不向きと言わざるを得ません。
天頂引力による位置のズレ
天頂引力という光の屈折現象により、地平線に近い天体は実際の位置より浮かび上がって見えます(大気差ともいいます)。日の入りを迎えるころには、実際の太陽の位置は地平線より下にあります。
関連用語:天頂引力、大気差