2016年のパンスターズ彗星が見える位置

 ここでは2016年のパンスターズ彗星が、いつ、どの方角に見えるかを、5月21日から6月25日まで1週間ごとに紹介します。パンスターズ彗星は概ね夜明け前に、東南東から南の空で低い位置に見えます。ですから、東南東から南の方角が開けた場所から観測するようにしましょう。
 
 ここで、夜明け前に見えると書きましたが、この時期は意外と早い時間から空が明るくなり始めます。特に東の地域や北の地域で顕著です。例えば6月1日に東京で空が明るくなり始める時刻は2時41分です。さらに札幌に至っては、1時46分から空が明るくなり始めます。ですから、空が明るくなり始める時間帯を意識して観測するようにしましょう。

5月21日

 夜明け前、東南東の空で低い位置にパンスターズ彗星が見えます。明るさは6.8等です。光害の激しい市街地では双眼鏡を使っても難しいかもしれません。しかし、空が暗い山間部なら楽勝です。
 
 目印になる星が少ない領域ですから、遠く離れたペガスス座の2等星エニフからたどります。真下方向へ双眼鏡の視野を移動すると、みずがめ座の三ツ矢が見つかります。この付近が中間点になります。そこからさらに真下方向へ視野を移動してください。ぼんやりと光る天体が見つかれば、それがパンスターズ彗星です。
 
 星図にある2時30分という時間は早いように思われるかもしれませんが、東京では2時50分から薄明が始まります。時間的な余裕はありませんから注意してください。また空の反対方向には、翌日が満月という大きな月があって、条件的にはあまり良くありません。
 

5月28日

 まず南東の空で低い位置に見える1等星フォーマルハウトを見つけましょう。左上の方向へたどると、みずがめ座δ星(3.3等)があります。この星のすぐ近くにパンスターズ彗星が見つかるでしょう。明るさは6.5等と先週よりも若干明るくなります。
 
 残念ながらこの日は月齢20.9という大きめの月が近くにあって、観測の妨げになりそうです。
 

6月4日

 今日はパンスターズ彗星がNGC7293(らせん星雲)へ 0.4度まで接近します。ある意味この日が最大のイベントといえるかもしれません。朝の2時半ごろですと、南東の空で低い位置に見える1等星フォーマルハウトのほぼ真上にありますから、探しやすい位置です。しかも今日は月明かりがありませんので、観測するには最適です。
 
 明るさは6.2等です。多少なら光害があっても双眼鏡を使えばすぐに見つかります。しかしNGC7293は、大きく広がった非常に淡い天体です。肉眼で見るためには空の状態がかなり良くないと難しいでしょう。どちらかというと天体写真向きのイベントと思われた方がいいかもしれませんね。
 
※下の星図でNGC7293は、パンスターズ彗星のすぐ右側に、小さな黄色い二重丸で示されています。
 

6月11日

 先週に引き続き、この日も月明かりがありません。暗夜で観測できる絶好の機会です。
 
 明るさは先週よりも若干明るくなって5.9等です。位置はどんどんと南方向(右方向)へ移動しており、フォーマルハウトよりも右側にあります。フォーマルハウトを双眼鏡の視野に入れてから大きく右、やや上方向へ振り向けてください。付近に明るい星雲状の天体はありませんから、モヤッとした天体が見つかれば、それがパンスターズ彗星で間違いありません。
 

6月18日

 パンスターズ彗星は6月21日に地球へ最接近します。それに向けて彗星の明るさもピークを迎えており、今日は5.7等の明るさです。空が十分暗い場所からだと、もしかすると肉眼で見つけることができるかもしれません。日々の移動量も大きくなっており、先週の位置から大きく移動しました。この後は次第に彗星の高度が下がってきますから、良い条件で見られるのは今週が最後です。
 
 まず、やぎ座が作る大きな逆三角形を見つけましょう。下側の頂点から下の方へたどるとパンスターズ彗星が見つかります。
 
 この日は西の空に大きな月があります。東京では月が2時50分に沈むのですが、暗夜は2時36分までです。以降は空が明るくなってきますから、十分に考慮しておいてください。
 

6月25日

 彗星の高度が下がっきた関係で、南中の頃を狙う必要があります。星図の時間は0時30分ですから注意してください。
 
 この日は月齢20.4という大きめの月明かりがあります。月の条件が良くない上に、パンスターズ彗星の高度も6度しかなく、こちらの面でも条件が良くありません。ほぼ真南を向いて地平線から少し上あたりを探してください。5.7等の彗星が見つかります。真南の方角がわからない方は、いて座が作る南斗六星のひしゃくのあたりが真南ですから、およその見当をつけてください。