半影月食が3度も起こる2016年

 半影月食(月食の種類を参照)は意外に起こる回数が少なくて、数年に一度の割合でしか見ることができません。しかし 2016年は、 1年の間に日本で3度も半影月食が見られる珍しい年です。

 3度起こる半影月食のうち 2回目は、月が半影をかすめるようにギリギリのところを通過します。また3回目は、本影をギリギリ外れており、もう少しで本影月食となってしまうところです。このような厳しい条件をクリアした結果、年間3度の半影月食を達成しています。

3月23日 夕方から半影部分月食

 2016年1回目の半影月食は、3月23日の夕方から起こります。下の図は地球の影を通る月の経路を描いたものです。月は地球の半影の北側を通過していきます。最大食分は0.8ですから比較的大きなものです。

 半影月食ですから月面に太陽光が当たっており、肉眼で見ても月食が起こっているのはほとんどわからないでしょう。しかし今回の食分は0.8と比較的大きめですから、もしかすると最大食の頃に、影の中心方向が少し暗くなっているのがわかるかもしれません。

開始 3月23日 18時37分
最大食 3月23日 20時47分
終了 3月23日 22時57分
最大食分 0.801(半影)

2016年3月23日の場合

半影月食の最大食ごろの星図、および開始と終了位置

8月18日 夕方にごく小さな半影月食

 2度目の半影月食は8月18日の夕方に起こります。今回は非常にきわどいもので、地球の半影北側の端をギリギリかすめて通過します。あとほんの少し月の経路が北側にずれていれば、月食にならないところでした。食分 0.017 というのが全てを物語っています。

 今回は食分が小さいだけに半影月食が継続する時間も短く、わずか37分で終了します。肉眼はもちろんですが、写真撮影をしても月食が起こっていることに気づかないかもしれません。

開始 8月18日 18時24分
最大食 8月18日 18時43分
終了 8月18日 19時01分
最大食分 0.017(半影)

2016年8月18日の場合

開始、最大、終了となる位置

9月17日 もう少しで本影月食

 最後の3回目は、9月17日に日付が変わった深夜から夜明けにかけて起こります。月は地球が作る影の南側を通過していきます。半影による食分は0.933ということで、8月18日とは反対に、本影の近くまで大接近する大きな半影月食です。下に示した月の経路図を見ると、もう少しで本影食になっていたことがおわかりいただけるでしょう。

 近畿地方よりも東の地域では月の入りが早いため、月食の終了を見ることができません。といっても半影食は非常にわかりづらい現象ですし、日の出も迫っているしで、たとえ近畿地方より西の地域でも、月食の終了をとらえるのは難しいでしょう。

 今回は食分が大きいですから、最大食ごろは本影に近い側が少し暗くなっていることに気づくかもしれません。下に東京での欠け方を示しておきました。右側からやや上が本影に近いですから、付近を目を凝らしてご覧になってみてください。

開始 9月17日 1時53分
最大食 9月17日 3時54分
終了 9月17日 5時56分
最大食分 0.933(半影)

2016年9月17日の場合

南西から西の方角で見られる半影食の開始と最大食(東京)

最大食ごろの欠け方

開始から最大食までの見え方

最大食から終了までの見え方