木星の見つけ方

 ここでは、木星を見つけるための方法や、天体望遠鏡で木星を見る場合のポイントなどを解説します。

木星木星のマメ知識

太陽系の第5惑星

 太陽系には9つの惑星があります。太陽に近い方から、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星の順でしたね。木星は内側から数えて5番目の惑星です。木星と太陽の距離は地球と太陽の距離の5.2倍もあり、太陽からはだいぶ離れたところを回っています。

ガリレオの見た木星

 人類ではじめて天体望遠鏡を通して木星を見たのは、ご存知のガリレオ・ガリレイです。ガリレオは木星の周りを回る4つの衛星を発見しました。これを見たガリレオは、当時有力だった天動説に対して、「大きな太陽が小さな地球の周りを回るはずがない」と考えるようになったといわれています。ガリレオの発見した4つの衛星は、木星を回る衛星の中でも特に大きなもので、4つ合わせてガリレオ衛星と呼ばれています。

太陽系最大の惑星

 木星は太陽系で最大の惑星です。その直径は7万1千キロメートルと地球の11.2倍の大きさがあり、質量は地球の318倍もあります。惑星としてはとても大きな木星ですが、太陽と比較すると直径は10分の1しかなく、質量にいたっては千分の1しかありません。

太陽になれなかった惑星

 木星の大部分は水素やヘリウムなどのガスでできています。この点、木星は岩石でできた地球よりも、ガスでできた太陽に似ています。実際のところ、あと600倍ほど木星の質量が大きかったとしたら、木星内部のガスが核融合反応を起こして、自分自身で光を放つ第2の太陽として輝いていたといわれています。このため、木星は「太陽になれなかった惑星」として紹介されることがあります。

木星の大赤斑木星の縞模様と大赤斑

 木星といえばその縞模様を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。探査機の写真で見た木星は、複雑に入り組んだ縞模様が鮮やかに写し出されています。縞模様の細部を注意してみると、大小の渦巻きを確認することができますが、その中でも最も大きな渦巻きは大赤斑(だいせきはん)と呼ばれています。これは直径が4万キロ(地球の直径の3倍以上!)もある大嵐で、強まったり弱まったりを繰り返しながら300年以上も持続しています。

木星の環木星の環

 惑星の環といえば土星の環が有名ですが、木星にも環があります。1979年にボイジャー1号によって発見されました。しかしその環は細くて暗いもので、土星の環とはイメージが異なります。木星の環は氷のかけらではなく、小さな岩石の粒でできていると考えられています。

木星の詳しいデータ

 木星に関する詳細データは、「天文用語ミニ解説」の中にある次の項目を参照してください。

    惑星の諸元表

    環の諸元表

    衛星の諸元表


夜半の明星

 地球から見た木星はマイナス2等星からマイナス3等星という非常に明るい明るさで、金色に堂々と輝いて見えます。英語ではJupiter(ジュピター)となりますが、これはギリシャ神話に出てくる最高神ゼウスのことです。木星の堂々とした輝きを見れば、それもうなずけることでしょう。金星が「宵の明星」や「明けの明星」と呼ばれるのに対して、真夜中にも見ることのできる木星は、「夜半の明星」と呼ばれることがあります。

木星の見える位置

 木星はマイナス2等星からマイナス3等星という非常に明るい惑星なので簡単に見つけられるのですが、はじめて見る時は次のことを確認しておきましょう。

日付や時刻による位置変化

 木星は地球から遠いところにあるので、少しくらい日にちが経っても、星座に対してそんなに大きく移動するわけではありません。

 これに対して、地球の自転による位置変化は大きなもので、1時間の間に15度くらいも移動します。これは、太陽が東から昇って西へ沈むのと同じ理屈です。

 ですから、観測する日時が決まらないことには、木星の見える位置は決まりません。逆に、日付と時刻(他には観測地点もですが)が決まると、木星はどちらの方角に見えてその高度は何度だと、ピタリと言い表すことができます。

つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレットの中にある「万能プラネタリウム」で日付と時刻と観測地を指定し、木星の見える位置を確認してみましょう。

木星を探してみよう

 それでは、実際に星空を見上げる際の注意点などをあげておきましょう。

観測場所探し

 木星は明るい天体なので、とりあえず肉眼で確認するだけなら、多少街明かりの激しい場所で見たとしても、見えなくはないでしょう。しかし、空が暗く光害の少ない場所から眺めるのにこしたことはありません。できれは田舎の方まで移動できれば、背景の星座まで浮かび上がって楽しいのですが、必ずしもそうはいかないこともあると思います。そんな時は近くに水銀灯などの人工の光が少ない場所を探しましょう。木星の見える方向に山や建物などがない場所を選ぶのも大切です。

方角の確認

 観測場所は決まりましたか。次に観測場所から見た方角を確認しておきましょう。アホらしいと思われるかもしれませんが、方角の確認は非常に大切なことです。東の方角は、太陽が昇ってくる方角ということからも、およその見当はつきます。(季節によって真東からズレがあります。)

いざ、観測!

 あとは晴れた夜を待つだけです。空が晴れたら空を見上げてみましょう。

 目指す方向に、まわりのどの星よりも明るくて、金色にピカーッとひときわ明るく輝く星が見つかれば、それが木星です。あれこれと書きましたが、見る時間と方向さえ間違えていなければ、木星を見つけるのは思ったよりも簡単なはずです。


天体望遠鏡で見てみよう

 さあ、木星は見つかりましたか。めでたく見つけられた方は、今度は天体望遠鏡で木星をのぞいてみたいものですね。

どんな望遠鏡が良い?

 木星の縞模様を天体望遠鏡で見てみたいと思う人も多いことでしょう。でも、「木星の縞模様が見えるような大きな望遠鏡なんてとても買えない」、と思う人もおられるのではないでしょうか。でも実際にはそんなことはありません。木星の縞模様の存在を確認するだけなら、一般に市販されているような小型の天体望遠鏡でも十分です。「望遠鏡なんて久しく使ったことがないよ」という方や、「よし、これを機会に天体望遠鏡を買ってみよう!」と思われる方は天体観測入門のページを参考にしてください。

木星を見る場合の倍率

 木星の場合、表面模様を詳しく見ようと思えば、やはり高い倍率が欲しくなります。しかしむやみに倍率を上げても像は暗くなるし、ピントが合わずに像がぼけてしまうしで、逆に見づらくなってしまいます。口径ミリ数の2倍から2.5倍くらいの倍率にとどめておくのが無難でしょう。

望遠鏡がない方は観望会へGO!

 天体望遠鏡を持っていないからといって、あきらめるのはまだ早い。近くの天文台や同好会などで、観望会などがあるはずです。観望会では、見ものとして木星は外せないターゲットなので、観望会があれば木星を見せてもらえるものと思ってまず間違いありません。木星を望遠鏡に導入する苦労もなく、大きくて高価な望遠鏡で木星を見ることができるのですから、いうことはありませんよ。
 リンク集の中から、お近くの天文関係施設のホームページをチェックしてみてください。

木星を見るときのポイント
まずはピント合わせ

 ピントが合っていないと木星や星の像がぼやけてしまいます。像がクリアでハッキリとわかるように、ピントをしっかり合わせてください。方法がわからなければ、係りの人に聞いてみると教えてくれます。早く見たい気持ちはわかりますが・・・。

木星の縞模様

 小さな望遠鏡でも木星本体には2本の縞模様が見えることと思います。少し大きめの望遠鏡になれば、数本の縞模様や、縞模様内部の構造まで見えてきます。

 木星の自転周期は10時間弱ほどしかありません。そこで、木星の縞模様の中に特徴のある部分を見つけ、これを目印に木星の自転のようすを調べてみるのも面白いと思います。

大赤斑

 縞模様をよく見ると、まわりよりも少し色が濃くて赤褐色をした、楕円形の模様を見つけることができます。これが大赤斑です。大赤斑は年によって、はっきりと見えたり、薄くて見えにくかったりします。

 また、木星の自転によっても見えたり見えなかったりします。木星は10時間弱の周期で自転しているので、しかたがありません。一度だけ観測して見えなかったからといって、あきらめることはありません。何度か挑戦すれば大赤斑に出会えて、その見え方の特異さに驚かされることでしょう。何しろ地球3個分もある大きな渦巻きなのですから。

白斑

 白斑は、その名のとおり木星に見える白い斑点模様です。大赤斑に比べると大きさは小さいのですが、白く輝くので注意して見ると存在が確認できます。永続はしませんが白斑は多数ありますので、縞模様とあわせてこちらも見ておかれると楽しさが増します。

ガリレオ衛星

 木星には数多くの衛星がありますが、その中でも特に大きな4つの衛星はガリレオ衛星と呼ばれて親しまれています。内側から、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと名づけられています。明るさは6等級ですから、小さな天体望遠鏡でも十分に見ることができます。6等級なら肉眼でも見えるんじゃないかと思われるかもしれませんが、近くに明るい木星がいるので、暗い衛星の光はその光にかき消されてしまい、肉眼で見ることはできません。

 衛星は、木星の影に入ったり、木星本体に隠れたりして見えなくなることがあります。また、木星上を衛星が通過したり、衛星の小さく丸い影が木星本体上に黒く映し出されていることもあります。時間や日にちを変えながら、続けて観測してみるのもおもしろいと思います。

イオの色

 ガリレオ衛星のうち、最も木星に近く内側の軌道を回っているのはイオですが、イオは活火山が激しく活動している衛星として知られています。このため、イオの表面は火山の噴出物に覆われており、地球からみたイオは他の衛星とは違って少し赤っぽく見えます。他の3つのガリレオ衛星を識別するのは大変ですが、イオだけはその色から識別することができるんですよ。


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