白昼の土星食 2014年9月28日
土星食とは
2014年9月28日は南西諸島を除き、ほぼ全国で土星食が見られます。土星食とは、土星が月によって隠される現象です。世界的にみると、2014年は全部で11回も土星食が起こる当たり年なのですが、日本で見られるのはこの日、9月28日だけです。前回見られたのは2007年6月19日ですから、7年ぶりの天文現象ということになります。
白昼の天文現象
今回の土星食が始まる時刻は、全国的に昼の12時過ぎごろです。そして、終了するのは13時半前後ということで、白昼での現象となってしまいます。
土星食の経過
土星食は、観測する場所によって月の見える位置が多少異なるとこから、見え方や時刻が違ってきます。一部の地域を除けば、大まかに言うと、12時過ぎごろに土星が月に隠され始め、13時半ごろに再び現れます。下の予報時刻を参考にしてください。
観測地 | 潜入時刻 | 出現時刻 |
札幌 | 12:16 | 13:37 |
東京 | 12:12 | 13:33 |
大阪 | 12:08 | 13:23 |
福岡 | 12:05 | 13:09 |
全国の見え方
今回の土星食は南西諸島を除き、ほぼ全国で観測することができます。下の図は月に対する土星の経路を、北方向が上になるように固定して描いたものです。この図を見ると、札幌など北の地域では月の中央付近を通過しますが、南へ行くほど土星の経路は南寄り(下側)となっています。
沖縄本島の一部では接食
沖縄本島の中部から北部にかけては、土星の一部だけが月に隠されて接食となるエリアです。このエリアよりも南の地域では、残念ながら今回の土星食を見ることはできません。
開始
下の星図のように東京で12時頃ですと、月の位置は南東方向にあります。月齢は3.9で、三日月よりもちょっぴり太った程度です。月は右上方向が光っており、月の暗部から潜入します。
土星は環が開いた状態で、環の端から少しずつ月に隠されていきます。潜入や出現は、北日本や東日本で40秒前後、西日本では50秒前後、限界線に近い場所では1分以上の時間がかかります。
土星食が起こる少し前の位置
潜入の少し前、月の形
終了
土星は月の明部から出現します。一部を除いて13時半前後と予報されています。土星の場合は恒星のようにパッと現れるわけではなく、潜入の時と同じようにジワジワと現れてきます。開始の頃と比べると、月の傾きが少し違っていますので注意してください。
出現の頃、月の形
日中に見た土星
土星というと、夜間なら肉眼でも簡単に見つけられる明るい惑星ですね。しかし、今回は昼間の現象ですから、肉眼で観測することはできません。それなら天体望遠鏡を使ったら?
当日の観測条件にもよりますが、10cmクラスの天体望遠鏡を使えば観測できなくはありません。土星の場合は恒星と違って面積がある天体です。しかも単位面積当たりの光量は意外に少ないですから、日中に天体望遠鏡を通して見ると、クラゲが空にフワフワと浮かんでいるような頼りない姿です。天体望遠鏡だから見えるだろうなんて過信すると、何も見えないかもしれません。
次回の土星食
次回、東京で土星食が見られるのは、10年後の2024年7月25日となります。この日も残念ながら今回と同様、白昼での天文現象です。しかし、同じ年の12月8日にも土星食があります。このときは日没後に起こる上に高度も高く、良い条件で観測できそうです。
最後に
9月28日は日曜日ということもあって、お休みの方が多いかもしれません。また、9月の下旬は秋晴れで、天候に恵まれることが多い時期です。土星が月によって少しずつ隠されていく姿をぜひ、天体望遠鏡を使って観測していただきたいと思います。
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