リニア彗星とは

2004.1.17 新規

 今、天文界では2つの彗星が注目されています。今年2004年5月頃に明るくなる彗星で、ニート彗星、リニア彗星と呼ばれています。ここでは、このうちリニア彗星について簡単に紹介します。

リニア彗星の軌道

リニア彗星の発見

 リニア彗星は、リニア(LENEAR)と呼ばれる組織が、アメリカのニューメキシコ州ホワイトサンズミサイル基地にある1mの望遠鏡を使って、2002年10月14日に発見した彗星です。LENEARは Lincoln Near-Earth Asteroid Reserch を略したもので、マサチューセッツ工科大学リンカーン研究所が地球に接近する小惑星などを捜索するプロジェクトのことです。LENEARは他にも彗星を多数発見していて、今回明るくなるリニア彗星はLENEARが発見してその名前がついた94個目の彗星となります。


リニア彗星の符号

 このように、リニア彗星はひとつだけではなくてたくさんあります。一般に彗星は、発見された際に符号が付けられるのですが、この符号によって彗星を区別して呼ぶことがあります。これによると、ニート彗星は C/2002 T7 LENEAR となります。しかし、「ニート彗星、リニア彗星 完全解説」のページ内では、単純にリニア彗星とだけ呼ぶことにしています。


リニア彗星の特徴

 惑星などの重力を考慮したリニア彗星の軌道は、ニート彗星と同様に、遠日点(太陽から彗星が最も遠ざかった地点)までの距離が40000AU(=0.63光年)にもなります。ですから、こちらもオールトの雲からやってきた彗星ではないかと考えられています。

 リニア彗星はニート彗星と比べるとずっと小さな彗星ですが、地球に0.27AUまで接近しますので、その分明るくなることが予想されます。

 上の軌道図を見ると、リニア彗星の軌道は地球と接近する付近では、地球の軌道の下側に位置することを示す青色で表示されています。したがって、日本を含めた北半球の国から見るよりも、南半球の国から見た方が観測条件はよくなります。


ニート彗星とリニア彗星が地球と接近する様子をアニメーション画像で見てみましょう。


つるちゃんのプラネタリウム ニート彗星、リニア彗星 完全解説