マックノート彗星が日没後に見える? 2010年6月末から7月初旬

日没後に観測できる可能性

 マックノート彗星は7月3日頃に近日点を通過し、太陽へ最も近づきます。太陽へ近づくと彗星の活動が活発になって明るくなりますが、その反面、太陽の光が彗星観測の邪魔をします。マックノート彗星の場合もその例に当てはまり、観測条件は良くありません。実は日没後しばらくの時間だけチラッと彗星が顔をのぞかせるのですが、通常の彗星の明るさなら周りの明るさに負けてしまって観測することはできません。しかしここへきて、2等台まで明るくなる可能性が指摘されているだけに、なんとか観測できる可能性も残されています。2007年のマックノート彗星の時のように・・・。

 そこで日没後のマックノート彗星観測に、ダメもとで挑戦してみませんか?

北西の低空に注目しよう

 ここでは日の入り時刻から30分が経過した場合を想定してみました。観測地は東京としていますから、西の地域では日の入り時刻はもう少し遅くなりますので注意してください。マックノート彗星は概ね北西の空に見えます。太陽が沈む位置は下の星図で120度と書かれたあたりですから、観測当日は太陽が沈む位置を確認し、大体どのあたりに見えるのか見当をつけておきましょう。

日の入りから30分後のマックノート彗星
※日付リンクの上にマウスを重ねると画像が切り替わります。
6月20日  6月23日  6月26日  6月29日  7月2日  7月5日  7月8日
マックノート彗星が見える位置

双眼鏡を用意しよう

 マックノート彗星は2等台の明るさがあるとはいえ、日没から30分しか経っていませんから、空はまだまだ相当に明るい状態です。こんな状況で淡く広がった天体を、肉眼で見ることなどまず無理です。あるいは双眼鏡を使っても無理かもしれません。

 6月20日から6月23日頃までなら、ぎょしゃ座のカペラを目印にし、それ以降はふたご座のカストルとポルックスを目印にしましょう。まずこれらの星を双眼鏡へ導入してください。あいにくこれらの星が双眼鏡で見えないようでしたら、その日はあきらめた方が良いかもしれません。

 目印の星が導入できたら、彗星があると思われる方向へ双眼鏡の視野を少しずつずらしていきましょう。彗星は広がりを持った天体ですから、淡くぼんやりとした光の塊に見えます。このような見え方をする天体がないか、双眼鏡の視野全体を見渡してください。付近に明るい星雲状の天体は他にありませんから、それらしい天体が見つかれば、マックノート彗星と思ってまず間違いありません。 

明るい星に接近したときはチャンス

 マックノート彗星が明るい星の近くにある時は見つける最大のチャンスです。特に6月21日はぎょしゃ座のカペラ(0.1等)、6月24日から25日にかけてはぎょしゃ座のβ星(1.9等)、7月5日はふたご座のカストル(1.6等)、7月7日はふたご座のポルックス(1.2等)に相次いで接近します。中でも7月5日は彗星とカストルが重なって見えるほどの大接近です。これらのチャンスを生かせば探す苦労を半減することができますので、見逃さないようにしましょう。

尾が見えるかな?

 尾に関していうと、もともと地球からの距離が離れている上に、尾が伸びた方向と地球から彗星へ向けた視線の方向が一致しており、長い尾は期待できません。しかし、短い尾なら観測できるかもしれません。彗星の尾は地球との位置関係により、後になるほど短くなっていきますから、7月よりも6月の間に見ておかれた方が良いでしょう。概ね右から右上方向へ伸びていますから、双眼鏡で観測される際には注意してください。

日の入りから30分後に見える位置の変化(6月17日から7月11日)
日が経つにつれて右から左へ移動していきます。


詳細な星図(2010年6月末から7月上旬)

  マックノート彗星が2等台に?