2012年3月のギャラッド彗星

地球へ最接近するギャラッド彗星

 ギャラッド彗星は3月5日に地球へ最接近します。地球との距離は1.27天文単位ですから、地球と太陽間の平均距離の1.27倍と、少し離れています。また、太陽からの距離も、昨年12月に近日点を通過してからは次第に遠ざかってきており、火星の軌道よりも外側の位置にあります。このため地球最接近といっても、急激に明るくなるようなことはありません。

周極彗星

 2012年の3月上旬は北極星のあるこぐま座に見えることもあって、一晩中観測することのできる周極彗星となっています。ギャラッド彗星が天の北極へ最も近づくのは3月11日から12日にかけてで、赤緯は70度を超えます。3月は全般的に夕方から明け方にかけて、高度が高い位置で条件良く観測することができるでしょう。

明るさ

 地球との最接近を迎えるギャラッド彗星ですが、明るさの方は特段明るく増光することはありません。予報よりもやや暗い目に推移していることもあって、6等台前半の明るさでしょう。最接近後は明るさがどんどんと暗くなっていき、3月下旬には7等台後半から8等台前半まで落ち込みそうです。

ギャラッド彗星の移動経路
3月のギャラッド彗星の移動経路。天の北極まであと20度というところまで近づく

 

見つけ方

星図について

 いつものように、下段へ10日ごとの星図を示しておきました。ギャラッド彗星は3月5日が地球最接近ということもあって、動きが比較的大きくなっています。5日ほど間をあけると位置がだいぶ変わってしまいますから注意しましょう。先月から一晩中見ることのできる周極彗星となっています。先月あたりは条件的に夕方は厳しかったのですが、今月は夕方でも観測しやすくなってきます。そんなこともあって、星図の時間は20時で統一しました。

3月前半

 彗星の見つけ方ですが、まず3月の前半は、こぐま座β星(2.1等)を目印にします。20時頃の場合、真北に位置する北極星から見て、こぐま座β星は、その右側からやや下方向に見えます。北極星と同じ2等星ですから、すぐにわかると思います。ギャラッド彗星はβ星の右側に見えますが、彗星の移動量が大きいため、日によって位置関係が少しずつ違ってきます。下の星図を参考にしながら探してみてください。彗星は6等台ですから光害が激しい街中でなければ、双眼鏡を使うとそれほど苦労せずに見つけることができそうです。

 月明かりの面では、3月前半はあまり良くありません。淡い彗星は月明かりにじゃまをされて見づらくなってしまいますから、思い切って月が沈んでから観測するのも一つの手です。しかし、それも初旬のうちだけ。以降は一晩中月が見えていますから、月明かりに悩まされそうです。

3月後半

 3月後半に入ると20時頃だと地平線に対して、日増しに上の方へギャラッド彗星が移動していきます。星座でいえば、りゅう座になりますが、明るい星があまりないため、お隣のおおぐま座からたどった方がわかりやすいでしょう。そう。言わずと知れた北斗七星からたどるのです。北斗七星が作るひしゃくの先にあるα星(ドーベ、1.8等)とβ星(メラク、2.4等)を使うのがよいでしょう。下の星図から、この2星と、彗星を加えた三角形を作ってください。その三角形の形を思い描きながら、実際の夜空に当てはめてみるのです。慣れれば意外に簡単ですから、ぜひお試しください。

 ギャラッド彗星は3月22日に、おおぐま座のM81とM82から南東へ5度のあたりを通過します。空が澄んだ田舎の空では5cmくらいの双眼鏡でもこの様子を確認することができます。しかし、空が明るい場所からでは難物でしょう。

 3月後半は月明かりの条件面は良くなります。しかし、彗星の光度が日増しに暗くなっていきますから、双眼鏡をお使いの場合はなるべく早い目に見ておかれた方が良いでしょう。

3月5日20時の位置
2012年3月5日のギャラッド彗星


3月15日20時の位置
2012年3月15日のギャラッド彗星


3月25日20時の位置
2012年3月25日のギャラッド彗星

3月の月齢カレンダー
2012年3月の月齢カレンダー


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