軌道の特徴

 パンスターズ彗星の軌道の特徴は双曲線軌道であることです。離心率とよばれる値が1.0000342ということで放物軌道となる1を超えています。このような彗星の軌道は閉じた楕円ではなく、開いた双曲線です。このため太陽へ接近するのは2013年の一度きりで、その後は二度と太陽へ戻ってきません。ですから観測できるのは、今回限りとなります。またこの彗星は、太陽系の果てにあるオールトの雲からやってきたのではないかと考えられています。

細長く開いた形をしたパンスターズ彗星の軌道

 次に下の図をご覧ください。パンスターズ彗星が近日点を通過する頃、言い換えると彗星が太陽へ最も近づく2013年3月10日頃の太陽系の軌道図を示したものです。図ではパンスターズ彗星の位置は水星軌道近くにあります。しかし近日点距離は0.30154AUということで、太陽系で最も内側を回る水星の軌道長半径0.38710AUよりも近いところまで太陽に近づいています。(1AU=地球と太陽間の平均距離)

 彗星の軌道と地球との位置関係を見てみましょう。彗星軌道のうち、暗くて青い部分は地球軌道面よりも南側にあり、水色の部分は北側にあります。彗星は南側から太陽へ接近していき、その後は北側へ抜けていきます。このことから、北半球に位置する日本からは近日点通過前は観測条件が悪くて見ることができません。しかし、近日点通過後は北上することから次第に条件が良くなってきます。

近日点通過頃の太陽系のようす

 パンスターズ彗星の軌道要素は次のようになっています。必要な方は参考にしてください。

軌道要素 略号
元期 Epoch 2013年3月9.0日
近日点通過 T 2013年3月10.16753日 TT
近日点距離 q 0.3015430AU
離心率 e 1.0000342
軌道傾角 i 84.20686度
近日点引数 ω 333.65148度
昇交点黄経 Ω 65.66583度

 つるちゃんのプラネタリウム パンスターズ彗星