移動経路

 パンスターズ彗星は近日点通過をはさんで、一気に南半球から北半球へ北上する経路をたどります。下の図は彗星が星座間を移動する経路を描いたものです。近日点通過となる2013年3月10日をはさんで7日間隔で、彗星が見える位置をプロットしています。

 2月下旬から3月上旬にかけて、みなみのうお座から北上を始めます。北へ移動しながら次第に明るさも増し、ちょうこくしつ座、みずがめ座をかすめて、くじら座へ入ります。3月10日にうお座で近日点通過して最も明るくなった後は、光度を落としながら引き続き北へ進路をとります。ペガスス座の東側(図では左側)に位置するアンドロメダ座を南北に串刺しにするように進んだ後、4月に入るとカシオペア座を通り、5月にはケフェウス座まで移動します。

一気に北上するパンスターズ彗星
星座間を移動する彗星の経路図

3月上旬 〜太陽に近い位置を北上

 3月初旬、パンスターズ彗星はみなみのうお座の1等星フォーマルハウトから遠くない位置にいます。星座でいうとみずがめ座ですが、みなみのうお座とちょうこくしつ座、そしてくじら座との境界付近を北上します。3月10日に太陽から最も近いところを通り過ぎる近日点通過というイベントがあるだけに、彗星の動きが大きくなっています。

3月上旬の移動経路

3月中旬 〜うお座を北上

 3月10日の近日点通過を終えた後も、パンスターズ彗星は一直線に北上を続けます。うお座に入り、明るい星が少ない領域を移動していきます。移動量は相変わらず大きめで、2日経つとだいぶ位置が変わっています。期間の前半は2等級の明るさがあり、彗星としては明るくて立派なものです。期間の後半も3等級と明るい状態です。尾の長さは少しずつですが短くなっていきます。期間中はヘペガスス座のγ星からたどるのがわかりやすいでしょう。

3月中旬の移動経路

3月下旬から4月上旬 〜アンドロメダ座を北上、アンドロメダ銀河に近づく

 3月下旬になると、うお座からアンドロメダ座に移ります。引き続き一直線に北上しますが、彗星の移動量は少しずつ緩やかになってきます。明るい星が多い領域に入りますから、アンドロメダ座α星(アルフェラッツ)やδ星を目印にすることができます。4月4日から5日にかけては、パンスターズ彗星がアンドロメダ座の大銀河(M31)へ近づきます。この頃の彗星の明るさはちょうど5等くらいです。眼視では条件が整わないと観測は苦しいかもしれません。しかし双眼鏡や天体望遠鏡による観測や、天体写真のよい対象となるでしょう。

3月中旬の移動経路

4月中旬から4月下旬 〜北上してカシオペア座へ

 4月中旬になってもパンスターズ彗星はまだまだ北上する経路をたどり、アンドロメダ座からカシオペア座へ入ります。この頃の彗星の光度は5等台半ばから6等くらいです。さいすがに肉眼では厳しくなりますが、多少の街明かりがあっても、双眼鏡があれば彗星を見つけることができます。地球から見たパンスターズ彗星は、次第に尾が見やすい位置へやってきます。しかし、太陽からも地球からも離れていることから、尾の長さに過剰な期待はできません。

3月中旬の移動経路

 つるちゃんのプラネタリウム パンスターズ彗星