夕方に見える位置

 パンスターズ彗星は2013年3月上旬から夕方の西空に顔を見せ始めます。といっても高度が低いため、夕方の条件はあまり良くありません。下で紹介する図は、東京で日の入り時刻以降に見えるパンスターズ彗星の位置を表したものです。日の入り時刻に彗星の高度が0度を超えるのは3月4日です。これ以降は少しずつジワジワと日増しに高度を上げていきます。3月の日没後は西の方角に注目しましょう。なお、3月下旬からは明け方にも見えるようになりますので、明け方に見える位置もご覧ください。

夕方、西の空

 3月上旬から中旬にかけて、パンスターズ彗星は西の空に見えます。下に掲載した3枚の図は、日の入り時刻、日の入りから30分後、日の入りから1時間後におけるパンスターズ彗星の位置変化を、5日間隔で連続表示したものです。同じ日なら時間の経過とともに、パンスターズ彗星は右下方向へ動いていきます。地平線めがけて真下に沈んでいくわけではありませんから、注意してください。また、高度が低くなる割合は西の空だと30分間で6度程度です。しかし、パンスターズ彗星の位置が北にあるほど、その割合は小さくなります。

日の入り時刻におけるパンスターズ彗星の位置(西方向)



日の入りから30分後



日の入りから1時間後

夕方、北西の空

 3月下旬から4月以降、夕方に見えるパンスターズ彗星は、西というよりも北西の方角に見えます。そして5月には北の空まで移動し、一気に高度を上げてきます。

 ところで夕方の観測では、日没から時間がたつほど空が暗くなります。ですから遅い時間ほどパンスターズ彗星を探しやすくなります。しかし、時間がたつほど高度が低くなりますから、地球の大気の影響を受けてしまって、その姿は次第におぼろげなものとなっていきます。透明度が良い日でも高度が5度以上ないと、天体観測には厳しいでしょう。ですから夕方の場合は、空が暗くなるのと高度が下がるのとの綱引きになります。こういうシビアな条件下での観測は、タイミングを見計らう必要がありますが、ベストなタイミングを一概に語ることはできません。太陽が沈んでから、できる限りつきっきりで、粘り強く探してみてください。

日の入り時刻、北西方向の場合



日の入りから30分後



日の入りから1時間後



日の入りから1時間30分後

薄明状態での観測

 夕方は彗星の高度が低い期間が長く続くため、空が完全に暗くなる前に観測する必要があります。というのも地球の自転とともに、西方向の地平線へ吸い込まれるように、すぐに沈んでしまうからです。このため、空が薄明状態での観測を強いられてしまいます。

西から北西へ移動する彗星

 パンスターズ彗星は日の入り後、夕方の西空で、日がたつにつれて次第に北側へ移動していきます。上の図では左側から右側へ位置を変えていくでしょう。移動する速さは意外に速く、5日もたてば10度以上も移動してしまいます。

高くならない高度

 3月4日に姿を見せてから3月20日過ぎ頃までは高度が次第に高くなります。しかし、その後はほとんど横ばい状態となり、よく見ると逆にジワジワ高度が下がっています。このことは4月に入っても同様で、日没後の高度はさっぱり高くなりません。4月後半になると再び高度を上げ始めますが、この頃には明るさが6等台まで暗くなっています。このように夕方の見え方としては、条件が良いものではありません。

 つるちゃんのプラネタリウム パンスターズ彗星