2020年ネオワイズ彗星の見つけ方

 ここでは実際に夜空のどの位置にネオワイズ彗星が見えるかを、2020年7月4日から7月29日まで、5日間隔で解説します。市街地からだと肉眼で見つけるのは難しいですから、双眼鏡を用意されることをおすすめします。この機会に、ぜひ見つけてください。

7月4日

 東京で夜明け前の3時30分ごろ、北東の低空をご覧ください。図の右端で非常に明るく光るのが金星です。金星から見て大きく左側、やや下の方にある、おうし座のβ星エルナト(1.7等)を見つけてください。この星から左下の方へ7.5度離れたところに、ネオワイズ彗星があります。昨日に近日点通過したばかりで、2.5等の明るさです。しかし、薄明開始から48分が経過しており、2.8度という低空ですから、やや難物かもしれません。一度挑戦してみてください。

7月4日 3時30分

7月9日

 東京で夜明け前の3時15分ごろ、北東の低空をご覧ください。非常に明るい金星から大きく左側にある、ぎょしゃ座の1等星カペラを見つけまょう。この星から大きく下側へ17度離れたところ、高度5度付近に、ぼんやりした天体が見つかります。これが目的のネオワイズ彗星です。明るさは2.7等です。
 
 双眼鏡で見ると上下に細長い楕円形をしており、目を凝らすと上方に尾が伸びているのが確認できるでしょう。薄明が30分ほど前から始まっていますので、手際よく見つけてください。

7月9日 3時15分

7月14日

 東京で3時20分ごろ北東の空を見ましょう。5日前よりも北の方(左の方)へ移動しました。相変わらず低空で、明るさは3.4等です。尾の向きは左上に変わってきました。この後、夜明け前では高度が下がって、見えづらくなります。
 
 逆にこの頃から、夕空で見え始めます。下側の星図にある20時だと、日没から1時間2分が経過しています。また、空が完全に暗くなるのは42分後です。もう少し早い目から探し始めてもいいかもしれません。目印になる星がありませんので、低空を当てずっぽうで探すしかありません。尾の向きは夜明け前と違って右上方向になります。今のところ高度は5度あまりと低いですが、この後夕空で、急速に高度を上げてきます。

7月14日 夜明け前、3時20分

7月14日 日没後、20時

7月19日

 最近は夕空で勢いよく高度を上げてきています。7月19日の場合、星図にある20時30分だと、高度13.5度と10度を超えてきました。空が完全に暗くなるのも8分後で、一気に条件が良くなりました。上方に北斗七星のひしゃくの先にあたる2等星が2個ありますから、ここから下方向へたどりましょう。明るさは4.2等と明るいですし、周辺に明るい星雲や星団もありませんから、見間違えることはありません。双眼鏡では上方へ伸びた尾が確認できると思われますので注目してください。

7月19日 20時30分

7月24日

 5日がたってさらに高度が上がり、観測時間に余裕がでてきます。しかしその反面、光度が4.9等まで落ちてきました。それでも双眼鏡を使えば、市街地からでも十分観測できる明るさです。北斗七星が描くひしゃくの底の部分から大きく左下を探すと、ぼんやりと広がって、明らかに恒星とは異なる天体を見つけられるでしょう。
 
 尾は上向きに伸びますが、市街地から確認するのは難しくなっているかもしれません。この日は月齢4.0の月があり、そろそろ月明かりの影響を受け始めます。気になる方は30分後に月が沈みますから、その後観測するのも悪くありません。

7月24日 21時

7月29日

 最近はどんどん左の方へ移動しています。この日はりょうけん座のα星、コル・カロリー(2.9等、星図ではα2と書かれた星)から遠くない場所まで移動しました。双眼鏡でコル・カロリーの下方を探してください。5.8等のぼんやりした星雲状の天体が見つかり、これがネオワイズ彗星です。この後は明るさが6等台へ落ち込みます。肉眼で見ることができる肉眼彗星でいられるのも、あとわずかになってしまいました。

7月29日 21時

このページのシミュレーション画像は、自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」を多少改良したものを使用しています。計算精度の関係で位置が多少ズレることがありますのでご了承ください。