ポンスブルックス彗星は1812年にフランスのポンス氏によって発見され、その後1883年にブルックス氏によって回帰が発見されました。このことから、ポンスブルックス彗星と名付けられました。太陽の周りを70年で回る周期彗星ですが、有名なハレー彗星の76年と近いですね。
ポンスブルックス彗星は2024年4月21日に太陽へ最も近づきます。日本では3月下旬から4月上旬にかけて、4等台まで明るくなるのではないかと期待されています。
3月から4月ごろ、ポンスブルックス彗星は日没後に西北西の方向で、低い位置に見えます。下の図は東京で日の入りから1時間30分後に見える位置を示したものです。ちょうど空が完全に暗くなる頃ですから、淡い彗星を見つけるのに最適です。日がたつにつれて高度が下がり、見づらくなることがわかります。
日の入りから1時間30分後に見える位置(空が完全に暗くなる頃) |
ここでは夜空の星座に対してどの位置に見えるのかなど、見つけ方を解説します。
東京の場合を例にして概ね1週間間隔で説明します。各ページとも切りの悪い時間になっていますが、これは東京で空が完全に暗くなる時刻に設定したためです。(一部異なります。)
3月23日 ポンスブルックス彗星がそろそろ肉眼彗星
下の星図はポンスブルックス彗星が星座間をたどる経路を示したものです。地球から比較的遠い所にある関係で、1日の移動量はそれほど大きくありません。3月から4月にかけて、アンドロメダ座からうお座、おひつじ座の順に移動し、次第に南下します。
位置変化(7日間隔) |
4月1日頃の軌道図をご覧ください。彗星は地球軌道面よりも上側(北側)にあります。軌道傾角が74度もありますので、地球軌道面を北から南へ串刺しにするように横切り、下側(南側)へ移動していきます。このため日本を含めた北半球では次第に高度が下がります。そのうち観測できなくなりますので、早い時期に観測するのが得策です。
軌道図 |
1週間ごとの明るさを表にまとめました。6等になって肉眼彗星となるのは3月19日ごろです。4月上旬には4等台となりますので、周囲が明るいめの市街地からでも、双眼鏡を使えば観測できるでしよう。
※彗星の明るさは予報からズレることも多いため、ひとつの目安とお考え下さい。
日付 | 明るさ(等級) |
---|---|
2月03日 |
9.0 |
2月10日 |
8.6 |
2月17日
|
8.1
|
2月24日
|
7.6
|
3月02日
|
7.2
|
3月09日
|
6.7
|
3月16日
|
6.2
|
3月23日
|
5.7
|
3月30日
|
5.3
|
4月06日
|
4.9
|
4月13日
|
4.7
|
4月20日
|
4.6
|
4月27日
|
4.6
|
5月04日
|
4.8
|
5月11日
|
5.2 |
ポンスブルックス彗星の光度曲線 |
一般的に彗星は太陽へ近づくほど活動が活発になって、明るくなります。ですから太陽との距離(日心距離)が重要です。ポンスブルックス彗星は4月21日に太陽へ最も近づいて、近日点を通過します。近日点距離は0.781AUということで、地球の公転軌道よりも内側ですから、活動がそれなりに活発になると予想されます。
※1AUは地球と太陽間の距離に相当し、およそ1.5億Km。
日心距離(太陽との距離)のグラフ |
また、ポンスブルックス彗星が地球へ最も近づくのは6月2日です。しかし距離は1.55AUと遠く離れていますので、地球へ近づくといっても、特に明るくなるわけではありません。
地心距離(地球との距離)のグラフ |
このページのシミュレーション画像は、Windowsパソコン用の自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」を使用しています。無料のフリー版を使っても、このペーシのようなシミュレーション画像を表示することができます。つるプラへのポンスブルックス彗星のデータ設定方法より、ソフトのインストールとデータ設定を行ってください。 ※計算精度の関係で位置が多少ズレることがあります。ご了承ください。 |