場所による月食の見え方の違い 2010年12月21日

月食の進行は同じ

 場所によって月食の見え方は違うのですか。こんな質問を受けることがあります。
 
 日食の場合は観測する場所によって開始時刻や終了時刻、欠ける割合(食分)が違ってきます。しかし月食の場合は、地球上のどこから見ても同じ見え方をします。
東京で見ても札幌で見ても福岡で見ても、月食の開始時刻や終了時刻、最も欠ける時刻や欠ける割合は全部同じです。

月が見える位置が違う

 それでは月食の見え方が全国どこから見ても全く同じかというと、そういうわけではありません。
 
 一番違うのは、月が見える位置です。観測する場所が違うと月の見える位置も違ってきます。東の地域ほど月の出や月の入りとなる時刻が早くなることからも、月が見える位置が異なることがわかります。といっても福岡では東の空から昇ってきているのに、東京では西の空へ沈んでいく、なんていうことはありません。だいたい同じ東の方向に見えるのですが、少し位置がずれているということです。
 
 多くの月食ではそれほど気にする必要はありませんが、月出帯食や月没帯食となる場合は少し注意が必要です。というのは、月の出時刻、月の入り時刻の違いによって、どこまで月食を見ることができるかが違ってくるからです。どんなにがんばっても、月が地平線下にあっては月食を見ることはできません。
 
 2010年の皆既月食では月出帯食となりますから、下の例のように札幌と福岡では少しの位置の違いが空の状態に大きく影響していることがわかります。

2010年皆既月食 札幌の場合


2010年皆既月食 福岡の場合
※札幌と比べて低い位置に見え、背景の空が明るいですね。

欠ける方向が違う

 ここまでは場所の違いによって月が見える位置が違うと書いてきましたが、これによって、体感的に月が欠ける方向が違ってきます。といっても下の例のように、それほど大きく違うものではありません。18時50分の例でいうと、福岡の方が札幌よりも少しだけ上側寄りが欠けているのがわかります。しかし、札幌と福岡でもこの程度しか違いませんから、場所による欠ける方向の違いはあまり気にする必要はありません。

月が欠ける方向の違い 札幌と福岡の例

つるちゃんのプラネタリウム 3年ぶりに皆既月食 2010年12月21日