全国で皆既月食 2014年10月8日

 2014年10月8日は全国で皆既月食が見られます。前回4月15日の月食は、日本では一部の地域でしか見られず、しかも部分月食でした。しかし、10月8日は全国で見られる皆既月食です。皆既月食は2011年12月10日以来、およそ3年ぶりの天文現象ですから、期待も高まりますね。

月食の概要

 この皆既月食は、ほぼ全国で月食の開始から終了まで、全経過をご覧いただけます。はじめのうちは高度が低く、先島諸島の一部では月が欠けたまま昇ってきます。しかし、どの地域も月食の進行とともに、高度が上がって見やすくなります。今回は3年ぶりの皆既月食ということで、オレンジ色か赤銅色に、ほんのりと光る美しい月を、全国で眺めることができるでしょう。

皆既月食となった直後

 ※思ったよりも暗い目でした

皆既中の月と天王星(右側の星)

皆既月食が終わる直前

 ※読者のブン太郎さん撮影

時間

 下の表は2014年10月8日に見られる皆既月食の時間をまとめたものです。部分食が見られるのは、18時14.5分から21時34.7分の3時間20分です。また、皆既は19時24.6分から20時24.5分まで、ちょうど1時間継続します。夕暮れ後の見やすい時間帯に起こることから、小さな子供さんでも楽しめそうです。

半影食の始まり  10月8日 17時14.1分
部分食の始まり         18時14.5分
皆既の始まり         19時24.6分
食の最大         19時54.6分
皆既の終わり         20時24.5分
部分食の終わり         21時34.7分
半影食の終わり         22時35.2分
最大食分          1.171

位置

 開始、最大食、終了の際に、東京で見える位置と空の状態を図示します。ご覧のように東の空、低い位置での開始となります。月食の進行とともに月は右上方向へ移動していき、南東の空の中ほどで終了します。別ページで日本各地で見える位置|2014年10月8日の皆既月食も用意しましたので参考にしてください。当日は東から南東方向に注目ですね!

東京で月食が始まるころに月が見える位置


※東の空、低い位置に見える。日没から1時間たったが、空はまだ少し明るい。

最大食のころ


※皆既月食中は東南東の見やすい位置に見える。満月の強烈な月明りはなくなり、星の輝きが復活。

終わりごろ


※南東の空の中ほどに見える。夜空が満月に照らされて、星座は見えづらくなった。

月の欠け方

 月食の魅力の一つは、月が少しずつ欠けていく様子を観察できることでしょう。最初に書きましたように、日本全国どこから見ても、時刻が同じであれば月が欠けている割合は同じです。ただし、観測する場所によって、欠ける方向は多少異なりますが、それほど大きな違いはありません。

 下の図は、月がどのように欠けていき、そして復帰するのかを、前半と後半に分けて示したものです。最初は月の左下から欠け始めます。次第に欠け方が大きくなりますが、左下が欠けた状態が続きます。食分が0.5となり、直径の半分が欠けた状態になるのは、18時45分ごろです。これを過ぎた頃から、月は次第に赤味を帯びてきます。

 食分が0.9を超えてくる頃は、月の上側が光ります。普段見られる三日月とは違った形をしており、月食でしか見ることができない、独特の欠け方です。光る部分がますます細く小さくなっていき、光る部分がなくなると皆既月食が始まります。

東京で前半の欠け方(10分間隔)


※左下から欠け始める。最後に細く光った上側部分が消えると皆既月食へ突入。

 1時間ほど皆既が続いた後は、月の左側が光り始めます。これ以降、左側が光って右側が欠けた状態が最後まで続きます。21時5分ごろには食分が0.5となり、半分復帰します。以降も満月の丸さを取り戻していきます。そして最後は、月の右端から地球の影が抜けて、月食は終了します。

後半の欠け方


※復帰は左側のやや上方向から始まる。最後に右端から地球の影が抜けて終了。

地球の影を通る月の経路

 下の図は、月が地球の影を通る経路を示したものです。月は影に対して西から東(図では右から左)へ動き、本影の北側を通過します。最大食の頃には本影(赤い丸のエリア)へ完全に入り込んでおり、皆既月食であることがわかります。

本影を通る月の経路

見る場所のポイント

 当日は、東から南東方向が開けた場所からご覧になってください。特に月食の始まりごろは、東の方角で低い位置に見えます。東の方角が低空まで見渡せるような、ビルの屋上や小高い丘の上などがよいでしょう。

楽しみ方

 久しぶりに見られる皆既月食ですから、次のような点に注意して大いに楽しんでくださいね。

欠け際に注目

 日食とは違い、月の欠け際は肉眼で見ても少しぼやけてはっきりしません。これは地球の大気によって太陽光が分散し、地球の影の境界がはっきりしなくなるためです。欠け際を見ていると、大気を持った地球の影が月に映し出されていることが実感できるのではないでしょうか。

色の変化

 月食中に見られる月の色は、普段と違います。食分が小さなうちは普段とあまり変わりませんが、食分が0.5を超えたあたりから、次第に赤味を帯びてきます。そして、皆既となる頃にはオレンジ色や赤銅色に変化して、なんとも言えない美しさです。といっても色は毎回異なり、オレンジ色から灰色まで、さまざまです。また、時間によっても変化しますから、色の違いを楽しんでください。

皆既中の月の明るさ

 皆既中の月の明るさは毎回異なります。火山の爆発によって大気中にチリが大量にまき散らされたり、月が地球の影の中心に近いところを通ると、暗い月食になる傾向があります。

 皆既中の月をよく見ると、本影の中心に近い側は暗くなり、反対側は明るくなります。上の写真を見ると一目瞭然ですね。また、時間の経過とともに刻々と変化していきます。今回は大規模な火山爆発はありませんし、月が地球の影の奥深くまで入り込むこともありませんから、比較的明るい皆既月食が見られそうです。(※実際は思ったよりも暗い目でした。)

マニアックな楽しみ方

 興味のある方は、ちょっとマニアックな楽しみ方|2014年10月8日の皆既月食もご覧ください。

次回

 次回は2015年4月4日にかろうじて皆既月食が見られます。21時ごろに皆既となりますが、継続時間が短い珍しいものとなるでしよう。

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 2014年10月8日 月食図 世界のどのエリアで見えるか

※このページのシミュレーション画像は、「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」に含まれる「つるちゃんの日食ソフト」プラグイン機能を使って表示しています。ΔT=67.0秒を入力して計算しました。画像データは正確な予報と比較して、時間換算で10秒以内の誤差を含みます。