明け方に小さな部分月食 2023年10月29日

 2023年10月29日の夜明け前、全国で小さな部分月食が見られます。

半影食の始まり  10月29日  2時59.9分
部分食の始まり 4時34.5分
食の最大 5時14.1分
部分食の終わり 5時53.6分
半影食の終わり 7時28.3分
最大食分  0.128

 
 NASAが提供する月食図をご覧ください。日本列島の東側(図では右側)に U4 のラインが通っています。U4は月食の終わりが月没時刻となるラインで、これよりも左側のエリアでは、本影による月食の全経過を見ることができます。しかし実際は、日本では月の高度が低い上に日の出が近く、条件良く見られるのは限られた時間帯だけです。

月食が見られる地域(NASA提供の月食図)

 
 下に示した月の経路をご覧ください。赤い丸は地球の本影です。ここに月がかかると、月が欠けて見えます。今回は本影の端をかすめるような格好で通り過ぎますので、食分が小さな部分月食であることがわかります。

地球の影を通る月の経路

 
 次に時刻を確認しましょう。月食開始は4時34分で、月の左側から欠け始めます。最大食は5時14分で、食分は0.13と小さな部分月食です。そして、5時53分に月の左下から地球の本影が抜けて終了します。日食の場合と違って、これらの時刻は日本全国で共通です。
 
 一方、東京では4時33分から空が明るくなり始めて、5時59分に日の出を迎えます。言ってみれば、月食が始まると空が明るくなり始め、月食が終了すると太陽が昇ってきます。そんなわけで、今回はあまり条件が良くありません。
 
 西の地域ほど日の出が遅れますから、その分だけ条件が良くなります。たとえば福岡では、空が明るくなり始めるのは5時10分で、日の出は6時34分です。30数分ほどですが、東京よりも余裕があります。

月の欠け方(12分ごと)

 
 総じていうと部分月食は、西の空の低い位置で見られます。日の出も近いですから、後半は双眼鏡を用意しておかれた方がいいかもしれません。

東京で見える位置

 今回は今ひとつパッとしませんが、次回条件良く見られるのは、2025年9月8日の皆既月食となります。