月食の種類

 月が地球の影に入ると月食が起こりますが、その入り方によって月食の種類が分かれます。地球の影には2種類あって、太陽の光が届かなくなる本影と、太陽の光の一部が届いている半影があります。単に月食と言った場合は本影による月食を指すことが多いのですが、ここでは半影による月食の種類も説明します。

月食の種類の説明図

部分月食

 上図の(a)

 月食の種類のうち一つ目は部分月食です。月の一部が地球の本影に入った場合、地球から月を観測すると、肉眼でも月の一部が欠けたように見えます。これを部分月食といいます。後にでてくる半影部分月食と区別するため、場合によっては本影部分月食、本影部分食などといわれることもありますが、通常は部分月食だけです。月が本影の奥まで入り込むほど大きく欠けたように見えます。

 月が欠けた程度を表す指標として食分が使われます。食分は日食の場合と同じ使われ方をして0から1の数字で表します。つまり、食分0は欠けていない状態で、食分1は全部欠けた状態です。

皆既月食

 上図の(b)

 種類の二つ目は皆既月食です。部分月食が進行して月全体が本影の中にすっぽり入ると、月全体が欠けた状態になります。これを皆既月食といいます。月の本影は日食の場合と違って地球の大気による光の屈折や散乱の影響を受け、赤い光の一部が届いています。このため、地球から見た月は完全に見えなくなるわけではなく、ほんのりと赤く浮かび上がって見えます。詳しくは皆既月食中の月が見える理由皆既月食中の月が赤い理由をご覧ください。

 皆既月食を食分で表すと1以上になります。また、月が地球本影の中心に近づくほど大きな値となります。

半影部分月食

 上図の(c)

 ここからの種類は半影による月食です。月の一部が地球半影の中に入った状態になると半影部分月食と呼ばれます。次に出てくる半影皆既月食を合わせて半影月食、半影食などと呼ばれることがあります。地球の半影は太陽の光の一部が届いていますから、肉眼で見ただけでは月が欠けているかどうかわかりません。半影による食分が大きい場合は、本影に近い側がちょっぴり暗くなっているのがわかるかどうかといった程度です。

半影皆既月食

 上図の(d)

 最後の種類は半影皆既月食です。これは、月全体が半影の中にすっぽり入りかつ、本影による月食とならない場合にこう呼ばれます。見かけ上、半影部分だけのエリアは意外に狭くて、月の視直径と大差ありません。このため本影月食とならない半影皆既月食はなかなか起こりません。最近では1999年2月1日に起こりましたが、今後東京で見られるのは2070年のことになります。

半影皆既月食の例 2070年4月25日