ししの大がま

「ししの大がま」の見つけ方

 ししの大がまは文字通りしし座にあります。しし座は早春の夕方に東の空から昇ってきます。1等星のレグルスを目印にすれば、探す苦労はあまり必要ありません。ななめを向きながら空を駆け上がってくる獅子の姿は、百獣の王と呼ぶにふさわしいくらいに勇ましく見えます。

 しし座はなかなか均整の取れた美しい星の配列をしています。なかでもレグルスから続く星が「?」のマークを裏返しにしたような星の配列になっているのが目にとまります。この部分はちょうど草を刈り取るときに使う鎌の形のように見えるので「ししの大がま」と呼ばれています。星座絵では獅子の頭から胸の部分にあたります。


しし座頭部の?マークの裏返し

しし座の物語

 しし座のギリシャ神話の物語はあまりにも有名なので簡単に紹介しておきましょう。

 ギリシャ神話の英雄ヘルクレス(ヘルクレス座)は、アルゴスのエウリステウス王の命により12の危険な仕事をすることになりました。その第一番目に命じられたのが、ネメアの谷に住む化け獅子を退治することでした。獅子といってもただの獅子ではありません。父親はテュホンという恐ろしい怪物で、母親はエキドナというこちらも怪物という、恐ろしい人食い獅子です。

 ネメアの森に入ったヘルクレスは、7日目にしてようやく化け獅子に出くわしました。獅子のたてがみは真っ赤に血に染まっており、聞きしに勝るどう猛ぶりです。ヘルクレスはさっそく自慢の矢を獅子めがけて射てみましたが、岩にあたったかのように矢はへし折れてしまいました。そこでこん棒をししの頭めがけて振り下ろしました。するとさすがの獅子も少しひるんでしまいました。ここぞとばかりにヘルクレスは獅子に飛び掛り、その首を力任せに締め付けたからたまりません。獅子はたちまち死んでしまいました。

 ヘルクレスはこの化け獅子の皮をはぎとって身にまとい、ゆうゆうと引き上げてきたのだそうです。以降、ヘルクレスはいつもこの化け獅子の皮を身につけていたといわれています。


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