火星の季節

火星の季節

最接近頃の火星のようす 地球の自転軸は公転軌道面に対して23.4度傾いており、これによって日本などの中緯度では季節が生じます。太陽の南中高度が季節によって変わるのもこのためですが、火星も同じように、自転軸は公転軌道面に対して25.2度傾いています。したがって、火星にも季節というものが存在します。

 では、今回の接近の頃だと火星の季節はいつになるのかといいますと、地球でいえば2月の上旬にあたります。あっ、つるちゃんの誕生日の頃じゃん。それはともかく、火星の北半球は冬の真っ最中で、逆に南半球では夏真っ盛りです。

 右の絵は最接近の頃の火星ですが、中央緯度は−14度とあります。したがって、14度に相当する分だけ、北半球よりも南半球の方がよく見えることになります。

極冠

 火星の南極には極冠という氷の塊があります。もう少し早い時期から観測すれば白く輝く極冠を観測することができたのでしょうが、最接近の頃は南半球は真夏ということで、極冠は解けてしまっていることでしょう。

出るか、大黄雲

 火星南半球の晩春から初夏にかけては地表が温められて上昇気流が発生しやすくなり、大気の状態が不安定になります。こうなると、地表の小さな砂ぼこりが大気中に巻き上げられて、黄雲が発生することがあります。時には黄雲が大規模に発生して、砂ぼこりが火星全体を覆ってしまい、火星表面がサッパリ見えなくなってしまうことだってあります。こうなると、火星の模様観測どころではなくなってしまいますので、「出るか、大黄雲」ではなく、「出るな、大黄雲」といいたいところですね。特に8月から10月頃は要注意です。