赤さを競う火星とアンタレス　2014年9月28日

　このところの火星は地球からすっかり遠ざかってしまいました。そして、東へ東へと移動しており、西から追いかけてくる太陽から、ひたすら逃げる格好になっています。これにともっなって星座間を大きく移動しますが、そんな中、さそり座へ入った火星が9月28日に、さそり座の1等星アンタレスに3.1度まで近づきます。

　下の星図は9月28日の19時ごろ、南西の方角に見える星空です。アンタレスの上方に火星が近づいていますね。アンタレスという星の名前は、もともとアンチ・アーレスからきています。アンチは対抗するという意味で、アーレスは軍神の星、つまり火星を指しています。アンタレスは火星に対抗する星なのです。

　火星は不気味なほど赤い色をした惑星で、不吉な星とされていた時代がありましたが、アンタレスもまた赤い色をした1等星として有名です。明るさの方も火星が0.8等であるのに対し、アンタレスは1.1等とほぼ互角。まるで赤さを競い合っているかのようで、アンタレスの名前のとおりです。あなたもぜひ、赤さを競い合う二つの星を見比べてください。

　前後数日間は両者が近づいた状態が続きますから、9月28日に見られない方も、日をずらしてご覧になっていただければと思います。

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